敵の敵
その様子はとても感傷的で、当方の口を
いつの世も、他者の心をつかむ上手はいるが、心火を燃やして同情を得る
もとい。 これは安易に同情と呼ぶべきものでは無く、一種の得心に等しいものか。
「………………」
他者を斬りつけ、斬りつけられる剣の道こそ、憎悪の窮極的な
ともすれば、断じて悪に
「けど、中には居るんだろうな? あんたみたいなのが」
「………………」
「困ってる
「それは……」
「頭イカレてんな? 神は人を助けない。 助ける必要が
反論しようと思えば出来たのだろうが、
「手前のことより、他人の幸せの方が大事か? 無いな。 そんなこと
大きく息を吐き出した彼は、遠くの町並みをしみじみと眺め、絞り出すように言った。
「そんな野郎が長らく守ってきた世界なんぞ、虫酸が走る」
「………………」
その言いようを真に受けると、途端に空恐ろしい何かが込み上げる。
先頃、彼は確かにかの姫と敵対した。
敵の敵は味方。
もちろん、これに
世に秩序立った炎など無く、触れるものをまずは害そうとするのが、
「……世に
「バカ。 得があんのか? そんな事して」
某が問うと、彼は心底から
そうして、己の肩先に生えた
お喋りの
「
「俺に
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