決死の場
しかし、この事態も間もなく収束するだろう。
他の者ならいざ知らず、あの
あれではいい
「…………っ!」
見越した通り、虚空を見据える彼の眼に、一点の炎が
あれは
次の瞬間には、彼の
火力を
にも関わらず、尋常ではない
「──────!!!」
これを少しでも
天を指向した壮絶な火炎は、姫の横合いへ大きく
「…………っ」
声にならぬ声とは、じつに言い得て妙である。
周囲を占める熱気によって、某の喉はすでに半分ほど潰れている。
いずれにせよ、声がきちんと届いたところで、かの炎の御仁が、他者の言い分を素直に聞き取るとは思えない。
では、果たして何事が起こったのか。
答えはいたって簡潔である。
「待って! 待ってください!! 天國さま!」
満身を投げ出した女官が、まるで
しかし、どうにも違和感がある。
先頃の女官は、己が如何なる優勢に立とうとも、心身に
それが今はどうだ。
この途方もない死地にあって、
これはどうした事かと考えた途端、もう一つの大きな違和感が、急にズルリと首を
“天國さま!”
彼女はたしかにそう言った。
この場に聴覚を阻む雑音は多々あるものの、断じて聞き違いではない。
もしや正気に還ったか。
「ぬ……!?」
そう期待した
この
神々の争いを、ただ傍観するのは恥ではない。
なけなしの生を望むのなら、あれは
そう。 これはすでに、一儀の範疇に納まる闘争などでは無く、天地間における自然の異変にも等しい、並々ならぬ事象であろう。
「痛ってえな、この野郎……」
やがて、
そうして
あのような状態で、なぜ
ばかりか、己の腰部に
あれは余裕の表れか。 そうでなければ、単に無神経なだけか。
もとい、あの
あれは、さながら
「………………」
そうする内、二名の目前に降り立った姫が、口元をわずかに
敵の痛々しい
しかし、まだまだ油断はできない。
彼の体躯から仕切りに立ちのぼる蒸気は、その体内に侵入した氷柱が、早々に熔け始めている証だろう。
いやしかし、彼の頑健な
根本のところに疑問が湧いた。
「なかなかやるな? お前さん」
「……よく言う。 どの口でそのようなこと」
「いやマジで。 感心したよ。
ニッカリと歯を見せる彼の仕草に、
あれは、まるで
間違っても、勝ち戦にのぞむ
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