雪の果て
友待つ雪のほのかに残れる上に、氷の刃が
立て続けに響く刃金の
その
「勝負せい! 勝負じゃ!」
そちらに気を取られる剣豪に対し、彼の首をしつこく狙う凶徒が、大声で
これを諸流にみる無刀の術理で征服し、剣を奪って戦況を見る。
複数の刀剣を一手に引き受けた玉鉾が、
しかしながら、持ち主を追い詰めるには至らず。 また、
酸鼻の血煙が、白雪の表層を
「おぉ!!!」
この事態に、俄然やる気をみせた無双の槍使いが、
ところが、姫の
三十貫はありそうな
続けざま、鉾が威勢を振るい、頭上の雲行きが
次の瞬間、弾幕と化した回雪によって、男性の身体は蜂の巣となった。
なんと鮮やかな手並であり、酷烈な
並々ならぬ
現在のような冬季、それも雪中の場においては、容易に彼女と
「おのれ!!!」
この場に集った皆々、それぞれ死力を尽くし、これに立ち向かってゆく。
その姿に、悲しい修羅を見た心持ちがした。
武士に明日は無く、彼らが
なんと
剣に一身を託す者として、それなりに共感するところもある。
己の
「くおぉぉ……!」
五寸釘のような
その挙げ句、彼の怪腕は、氷柱の起点をキツく
「触れたな貴様?」
「ぬむ!?」
しかし、彼の蛮勇はそこで打ち止め。
獅子をも
これが音を立てて砕ける間際に、自分の口が発したものらしい怒号を聞いた。
かつて剣を交えた
気がつくと、なりふり構わず姫の元へ打ち込んでいた。
勝ち目を
これを待ち受けていたものか、人混みを蹴散らした女官が、
「くぅ……!」
後悔を先に得ず、頭の片隅が痺れを
それはすぐさま軌道を変えて、
思わず剣を手放し、足を止める。
じくじくとした痛みに、途端に命惜しさが再燃した。
この
「焦るな阿呆!」
この騒動にも
見ると、長剣を
「巌流殿……」
思いあまって
「馬鹿野郎。 まだ死ぬることは許さん。 あぁ、許さんともさ」
その表情は
「使え」
「すまぬ」
そんな彼の手ずから、寸法の長い
その
そうして
「甘いの?」
「く……っ」
しかし、寸分遅かった。
我らが下した打ち太刀は、雲間から
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