第80話 お針子って真っ先にAIに代替される職業らしいね

 最近は本ばかり読んでいます。知り合いの出した本とか翻訳した本とかおすすめされた本とかいろいろ。で、今は少し古いフランス文学『バルザックと小さな中国のお針子』を読んでいます。奥付によると2002年発刊。17年前か〜。


 1971年の中国の山奥が舞台なのですが、ここに仕立て屋が出てきます。


 山には小さな村が点在しているのですが、そこの人々は都会の生活なんか知りません。いちばん近い町に出るのにも往復4日かかるのだから。そこでは仕立て屋はヒーローです。みんなが待ち望んでいる。村長たちがおねがいだからうちに来てくれとたのむ。スケジュールはずっと先までいっぱい。


 仕立て屋が来ると、村中がお祭り騒ぎ。われもわれもと、なんとかして手に入れた布地を手に、仕立て屋が居候する家に押しかけ、差し入れをし、こんな服を、あんな帽子を作ってくれとたのみこむ。もはや仕立て屋は魔法使いかなにかのよう。



 私、服作りに興味があります。


 でもなんにも知りません。服を作るのは難しい。


 いちど、デザイン科の授業で企業から「カッパをデザインしてほしい」というのがありました。どうでもいいけどケチって学生にデザイン頼む企業は潰れると思う。


 先生たちは大慌てです。だってグラフィックデザインやプロダクトデザインしか教えられない人たちだったんだもの。服の仕組みなんてわからない。わからないからデザインもできない。


 だけどそこはデザイン科。なんと生徒にコスプレオタクがいたのです!


 先生たちは経費でいくつかミシンを買ってくれました。絵や立体デザインは私よりも得意な人たちが、ミシンの操作で私に聞きにきます。とてもいい気分です。私はミシンのやり方は教えられずともわかる人でしたから。中学高校でも家庭科の授業でみんなに教えまわっていたぜ! 基本おせっかいなんだぜ!


 でも服の作り方はわからない。最終的に先生たちを助けたのは例のコスプレイヤーでしたね。「あれもう完成じゃないの?」というところでもう二、三度縫わなきゃならんのです。服作りって奥が深い。私もレイヤーになろうかなって一瞬思いました。でもあれを趣味にするとカネがかかってしゃーないのよね……小説は安価だわ。


 でもときどき無性にお裁縫をしたくなります。


 ママに貰った型紙(ママ曰く、日本ではパジャマとエプロンの型紙しか売ってない)と、センスのいい姉に選んでもらった布で作ったワンピースはめちゃめちゃ評判が良かった。大量生産してメルカリで売ったろうかと思ったくらい。でも私、一人暮らしの家でミシン持ってないんだよね……ワンピースは手縫いで3日で作りました☆


 今、ふたたび「なんか作りたいな」欲求が増している。ヒマなのか私。

 いっけね、本の続き読まなくちゃ。

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