第67話 ハロウィンの思ひ出

 子どものころ、我が家では毎年のようにハロウィンパーティが開かれていた。


 よく勘違いされているが、ハロウィンはキリスト教とはまったく関係のないお祭りである。ケルトの収穫祭が元になっていて、あの世から死者や魔物がやってくるから、イタズラされないように「自分もこの世の人間じゃありませんよ」アピールをするのが仮装をする由来だ。


 つまりハロウィンはケルトのお祭りなので、イギリスやアメリカなんぞで広く行われている。ま、グローバルな今となってはいろんな国で楽しまれているけれど。


 うちのママはイギリス人でもアメリカ人でもないけれど、紙幣にエリザベス女王が描かれているお国の出身なので、ハロウィンは昔よくやっていた。




 実家の近くにペンション村があって、そこの人たちがわりとノリの良い人たちなんである。まだ日本では「ハロウィン? なにそれ美味しいの?」状態だったから、事前にお菓子を渡して「配っといてね」と口裏を合わせておく。


 ハロウィン当日。事前に告知していたので仮装したお客さんがたくさん来る。私のアルバムには歴代のハロウィンコーナーがあって、そりゃもういろんな仮装が収められていて圧巻だ。


 ママとおそろいのヒョウコスプレ、吸血鬼、インディアン、悪魔、魔女、海賊、キョンシーなどなど。顔面メイクもばっちりである。白塗り、赤塗り、なんでもござれ。ママが一番気合い入ってたからね、衣装も完璧。


 で、お客さんが集まったら、ふたつのチームに分かれる。


 お菓子を貰いに行くチームと、そいつらが持っているお菓子を奪うチームである。兄は毎度のように奪う側にいた。こええ。


 父が運転する四トントラックの荷台にみんなで仲良く乗り込み(良い子は真似しちゃいけません)ペンション村へ。おもいっきり走り回って、汗かいて、タイムアップしたらお家に帰り、パーティタイム。そこでお菓子を沢山持っているチームが勝利となる。


 ちなみに子どもたちはたいてい、勝敗が決まる前にお菓子を食い尽くすので、どっちが勝つかは最後までわからない。兄よ、あんただれよりもお菓子獲得してたはずなのになんでなにも持ってないの……?



 こんなハロウィンを二十数年前にやっていたから、最近原宿とかで巻き起こっているハロウィンブームが、なんだか怖くてぜってー行きたくない……ハロウィンはやりたいけどあれはちがうよ……なんかちがう……お菓子食べたい……。



 おもいっきり仮装したい今日このごろである。

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