第50話 構造分解の罠

 物語を読んだときや作るときに「構造分解」する癖をつけている。


 そうしていれば気が乗らなくてもぱっと小説が書ける気がして。(スランプにも関わらずちまちまと小説を書いていたのはこれのおかげかもしれない)



 私の場合は映画が好きだから、とりあえずいっぱい映画を観まくっていたときに「構造」に気がついた。わかりやすいのがハリウッド映画だ。簡単な構造がこちら



・主人公と世界観の説明。うまくいかない主人公。


・環境が変わりはじめ、四苦八苦する主人公。


・なんかめちゃくちゃ順調じゃん! というところで一気に奈落に突き落とす!!


・いろいろあって解決☆いえーい。



 アメコミもプラダを着た悪魔もシザーハンズもだいたいこの流れ。


 映画だけに限らない。民話や神話、好きなマンガ作品の構造を分解して流用するのはアリだ。もちろん少女漫画の構造を持ってきて少女漫画を描いたらパクリになる。だけど少女漫画の構造を熱血スポーツものに持ってくればオッケー。恋する男子を宿命のライバルに変えちまえば同じ流れでストーリーが作れる。やったね。



 こんな感じなので、自分の作品も書いたあとで構造分解してしまう。


 ところが人から感想を聞くと、だいたい構造には触れられないのでビビる。


「えっと……みなさん、このお話がどういうものだかわかってます? あれちゃんと伝わってるかな? それとも当たり前すぎて言わないだけ? 伝わってる???」



 こないだ女子高生がやくざに追いかけ回されちゃうお話を書いたのよ。


 そしたら合評会で、一人が「このやくざの目的は……」と語りだし、「ああ、よかった! ちゃんと伝わっていたんだ!」と一瞬思ったのもつかの間、「え! そういう話じゃないよね?!」と三人くらいが反論した。



 ……泣きそう。



 構造で書くのはいいけど、どこまで伝わるように書けばいいか、さじ加減がむつかしい。書きすぎてもくどくなっちまうし。



 まあ、いいか。

 書くしかないもんなあ。

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