第24話 亜人ちゃんを全部見た

 前回ちょっと文句を言いつつも、最終的には「いいもん見さしてもらいました」という感想に落ち着いた。最後まで見たらそこまでハーレムじゃなかったしね!


 いや、ほんとにいいと思ったよ。アニメ「亜人ちゃんは語りたい」。簡単に紹介すると、バンパイアやら雪女やら、「亜人」と呼ばれる人が、普通の人に交じって暮らしているという設定。これはLGBTなどのマイノリティについてのお話で、現実問題を現実逃避しながらわかりやすく説いてくれている。


 これの作者、かなりちゃんとマイノリティ問題について調べていると思った。私が気に入ったのが、「バンパイアでも雪女でも関係ない! みんな同じ人間だよね!」という、こういうのにありがちな、誤った理想主義をやんわり否定していたことだ。


 何年か前、NHKのドキュメンタリーで「青い目茶色い目」というのを見たことがある。アメリカの心理学実験的授業で、集まった生徒を目の色で分け、「これから青い目の人を差別します」と高らかに宣言するというものだ。


 当然、青い目の人は、普段は被差別側にまわらない白人である。差別された生徒たちは「あんまりだ。授業でもひどすぎる」と訴え、黒人たちは「え、それくらいで?」と首をかしげる。このドキュメンタリーで私がもっとも意外だったのが、ある黒人生徒と先生のやりとりだった。


「あんたは白人から『自分も黒人の友達がいるよ』って言われたことある?」

「しょっちゅうだよ」

「そういう人に『黒人でも関係ないよ』と言われたことは?」

「よくある」

「それについてどう思う?」

「おれは黒人なのに、なんで関係ないんだ? って思うよ」


 そうなのだ。

 だって彼らははじめから黒人として生まれて、この先も黒人で、そしてそれにアイデンティティを持っている。誇りのようなものを。だから「関係ないよ」なんてセリフは、理解を示してくれているようで、実はとんでもなく失礼なのだ。


 これ、私も普通に言ってしまっていたかもしれない、と思い、アメリカってすげーな、人種問題に取り組み続けてきただけあるな、と舌を巻いた。少し前のディズニー作品「ズートピア」もまさにそこに落ち着く。

「ちがいがあったって関係ないよね!」とはならず、

「僕らはちがう。だから理解し合おう」となる。


 マイノリティも人種問題も、ここら辺をおさえとくのって、気付きがないと難しいような気がする。あ、いや、私がおばかで気がつかなかっただけで、わりとみんな、ちゃんと理解してるのかもしれないけど……。


 だから、「亜人ちゃんは語りたい!」も、やんわりとその辺に手を伸ばしていて、すごいなあ、と思ったのです。まる。


 それでもやっぱり、出来すぎてるよ〜とは思ったけどね。

 あしからず。

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