第22話 水星じゃねえ、地球人だ!

 そもそも占いなんて信じちゃなかった。


 朝のニュースでやっている「血液型占い」やら「今日の星座占い」なんて、子どもながらに「番組作ってる人が適当にでっち上げてんだろな」くらいに考え、テレビを見た5秒後には今日のラッキーアイテムを忘れていた。


 が、大学に入って少ししたばかりである。仲良くなった先輩が「あの先生のとこ、行って来なよ!」とささやいたのである。「手相見てくれるよ!」

 なんと! 手相とな!


 面白そうなことには首をつっこむ物好きである。すぐさまそのなにがしか先生の研究室へ顔を出すと、「しょうがないなー」と言いながらがさごそ書類を取り出した。うそだろ。新入生全員の姓名判断がチェック済みだったのである。「なんだ。おまえの画数いいな。むかつく」とかなんとか言いながら、先生は私の名前から手相、生年月日まで網羅して占いをしてくれたんである。しかも無料で。やったーい。


 それを機にすっかり占いが気になる体質になってしまった。とはいえ「○○の母」系はお高いので遠慮している。一度、ミャンマーに行ったおりに見てもらったこともあるけれど。なんだかいいことばっかり言われたので逆に信用できなかった思い出。それから、にこにこと「宗教をやればもっと運がよくなるよ!」と言われ、宗教への価値観のちがいをまざまざと思い知った。


 しかし、不思議なことがひとつある。どの占いをやってもみても、必ず財運が強いと出るのだ。なんで?


 特にお金持ちだった経験はない。さりとて、お金に困った経験もないけれど。するとシェフいわく「おまえは物欲指数が人並み外れて低いんだよ」とのこと。あ、そっかそっか。はい、異論ありませーん。



 幼なじみと私とは、細木和子氏の占いで同じ星のもとらしい。去年のお正月、温泉につかりながら「今年、うちらの運勢めっちゃいいよ」と教えてもらったんである。やったーい。


 それで昨日、コンビニに行ってみると今年の細木和子氏占い本が並んであったので、チェックしてみた。今年も私の星は絶好調の様子である。うふふとにやけつつ恋人との相性を見る。


 最悪じゃねえか!



 占いなんか当たりゃしませんよ、ええほんと。

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