第3話 国と滅亡

雨がとても酷い、地球にいた頃だってこんな酷い雨には当たったことは無い。


「ほんとに酷い雨ね、なんで傘を持ってないのかしら?」


「呪いやらなんやら唱えて出せばいいじゃないか?」


「そんな便利な機能な分けないでしょ?出せるのはごく一部、武器と魔法くらいよ。」


「なんて不便なこと。」


「うっさいわね、口を動かすんじゃなくて足を動かしなさい!」


城下町が見えてきた、雨なのに明るい。

人の悲鳴が聞こえる。


「な...なによ....これ.....」


城や町は燃え盛り、人々は倒れ、血が飛び交っている。

「冗談だろ、これ」


「姫様!ようやく帰って来ましたか!大変なんです!」

と、1人の城の使いが来た


「見たら分かるわよ!こうなった経緯をしっかり教えなさい!」


こうなると冷静なやつだ姫になった理由も多少理解できるかも知れない。


「今現在、エルシア王国200人程の兵に城を燃やされ民は300人程度殺されました。」


「なんでだ、この国は兵士が多いって聞いたぞ。」


「狙われたのね....」

「今、エリス王国の兵は他国へと遠征していて、しかも他の兵もほぼ休暇に入ってたのよ。」


「そんなことより民の救助の方が先よ、ここからは別行動よ、剣2本あれば充分でしょ?」


「知らんが皆の為に尽くすよ」


「1人残さず助けなさい。」


「私はみんなを地下に逃がすわ」


別行動になってしまった。

そう言いながら人を探していると、少女の悲鳴が聞こえた。

「助けて...母様...父様.....」


「しねぇっ!」


カキィーン!!!

「大人が少女を殺そうとするなんて、死んでから地獄にすら行けないぞ?」

「さぁ、逃げるんだお嬢さん」


「うん!ありがとうお兄さん!」


「それにしても酷いやつだなお前」


「うるせぇ!誰だお前!」



「俺は 新城 律希 エリス姫の下僕だ。」


「つまりお前は下族という訳か、ククッ私の分類は貴族だ、お前とは格が違う君は私にここで殺されるという訳だ!」


「えぇっと、人を偏見で判断するのはよく無いぜ。」


「どういう事だ。」


「俺の魔力は一応姫様にも褒められたくらいだぜ?」


「エリスの姫の言うことなんて信用出来んな、脅しは聞かん!ここで死ねっ!」


自分は剣を振るわず 拳に魔力を込めて思いっきり殴った。


「─グハッ!─」

「なんて魔力だ、しかも武器ではなく身体直接に込めるとは 下族とは思えん。」

「その力説明しろ!」


「俺にも正直分かんねぇよ、お前は今は寝てろ。」


「殴った、殺してはいない。」

「いや、殺す勇気なんて無かった。」

「異世界とはいえ人を殺すのに罪悪感はあるだろう?」


この考えが甘かったんだ。


「じゃあ他の奴ら探すか。」


「残念だったな。」グサッ


「なんだと。」


「戦いに置ける残心って知ってるか?」


「お前にはそれが足りなかった、お前は人に良心的だった故に俺に道ずれを食らったのだ。」


なんてことだ異世界に来てまだ3日もたってないのに生命の危機とは....


もう声もでねぇ。


薄れていく黒煙の町の景色、血で溢れている俺の身体。


「あぁ、まだ生きた....い...」


「......」


「まだ死ぬには早いよ?律希君。」

「私を探してくれるんじゃないの?」


「俺は一面中が草原の場所で起きた。」


「律希君...そら青いね。」


横を見ると久しぶりようでいつも隣にいたあいつが俺の横にいた。

「沙音...俺って。」


「律希君はほんとに人に甘いよね」

「でもその分人に愛されてたと思うんだ、もちろん私にもね。」

「だから、その心忘れないでね!」

「私、律希君が見つけてくれるの待ってるから!」

「まだゲームオーバーじゃないよ?」


そうだ俺は姫君を守るんだった。


「今は私より守らなきゃ行けない人が沢山いるでしょ? 」


「確かにそうだがお前も守りたいよ。」


「──やっぱり、優しいね律希君。──」

「──でも今回はここでおしまい。──」

「──次に会えるのは律希君が何かを失おうとした時に来てあげるよ。──」

「──いってらっしゃい。──」


「ん....うう....」


「ようやく目覚めたようですね」

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