第11話 危機一髪

インカムから届いた声に、カルエムはうるさそうに顔をしかめた。

『まだか?先生!』

「うるさいな黙ってろ。家の洗濯機直すのとはわけが違うんだ」

マイクを切り、苛立ちまじりに作業を急がせる。

その近くで最終チェックを行っていたユリが無線越しにアリーチェに尋ねた。

「フィンどうなってる?」

少しの間を置いてアリーチェは答えた。

『……踊ってる?』

「はい!?」

思わずユリは声を上げた。



【グラインド】は踊っていた。

細かな砂を巻き上げ、時に岩肌を足場にして飛び上がり、円形に取り囲む岩々の中をスケート選手のように滑空する様は、まさに踊っているかのようだ。

もっとも、それは見ている側の感想である。当の本人はと言えば、額に汗して必死で操縦桿を握っていた。

「あわわわわわぁ!」

何とも情けない声ともに無理やり機体を傾け、巨大な両腕を羽根の様に伸ばして強引にバランスをとる。

一歩間違えば転倒して大破するような綱渡りをフィンは続けていた。



その虫の様に飛び回る様は、狙う方から見れば面倒極まりない。

『ああクソッ。蜂みたいに飛び回りやがって』

縦横無尽に飛ぶ【グラインド】に悪態をつきながら、ライフルを持つ【ヴォランティア】が何度目かの銃撃を行うが、乗っている本人にすら予測できない無茶苦茶な軌道の前に空を切る。

その後方、腕の無い【ヴォランティア】の中で、ザムは驚きと焦りの交じった声をもらした。

「なんだよあれ」

その機体が通常のトゥルーパー以上の加速を行うとは聞いていたが、常軌を逸する動きをするとは聞いていない。

二機の【ヴォランティア】と数台の車両・固定砲台にまで囲まれながら岩場の中を飛び回っている。

思わず後ずさりしそうになる気持ちを引き戻したのは、頭上から届いた声だった。

「弱音を吐いてる場合じゃねえぞ新入り」

顔を上げ、火傷の入った強面と目を合わせる。

腕だけでなく頭部まで取り外された【ヴォランティア】は、顔の代わりに機銃とライトを取り付けられ、胸部から首にかけて搭乗スペースが確保されていた。

機銃に手をかけて佇む男に発破をかけられ、ザムは首を振って気持ちを切り替えた。そこへ僚機から通信が入る。

『弾切れだ。頼む』

「了解です」

応答と共に、奮闘する仲間のもとへと機体を走らせた。

ライフルを撃つ【ヴォランティア】の隣に停止し、仮設頭部の機銃で牽制が行われる。

「急げ奴は――ッ!」

機銃を撃つ男が言葉を詰まらせ、ザムもまた目を見開いた。

滑空から一転した【グラインド】が飛び上がったのだ。



腕の無い【ヴォランティア】が動いたのを見て、フィンはまず逃走を考えた。

彼が最も心配なのは、自分ではなくアリーチェらに銃口を向けられることである。もしも片方の敵機を撃墜すれば、その報復として二人を撃たれるのではないかという考えが攻撃をためらわせていた。

いっそ隙を見て二人を回収できないか?

そんな考えは、しかし二機が合流しようとしたのを見て切り替わった。

補給とも挟撃とも分からなかったが、その銃口が自分に向けられており、かつ相手が並んでくれているならば好機とフィンは判断する。

彼自身そんな考え方はしたくなかったが、手早く殺してしまう方が何かと楽なのだ。

「ゴーゴー!とにかくゴー!」

掛け声とともに岩肌へ跳び、ウォールライドのように機体を張り付かせて反転。そのままスラスターの勢いと共に【グラインド】は飛んだ。

追加装甲で厚みの増した両腕を平行に構え、プロレスラーのような動きで敵機の胸へ飛び込む。

乗り手が何が起こったか分からぬまま、ライフルを持った【ヴォランティア】は倒れた。胸部が大きく歪み、頭部は首元から千切れるように落ちる。

倒れた僚機を気にかける暇も無く、ザムは同じく倒れた【グラインド】を見据える。その頭上で機銃を持つ男が、叫びながら機銃を構える。しかしそれよりも早く動いた【グラインド】が、起き上がりざまにスパークバトンを引き抜いた。

棒芯から激しい発光が起こり、直接その光を見た男が自分の目を抑えてもがく。

下からザムが声をかけるが、うめくばかりで答える事も出来ない。そのザムも【グラインド】が立ち上がるのを見て、機体を後退させるために操縦に集中した。

あるいはその急な後退のせいか、混乱した男が腰を浮かせてしまった為なのか。次の瞬間には男の体は投げ出され、接近する【グラインド】の頭部へと接触した。

音も衝撃も無い接触だったが、カメラのひとつが赤く汚れたのを見て、フィンは何があったかを理解した。

しかし動きを止める事無く、踏み込んだ【グラインド】はバトンを振るい、腕の無い【ヴォランティア】は腹部を引き裂かれて地面に倒れた。

「――ッ」

小さな舌打ちともにフィンは機体を反転させた。

画面が切り替わり、もう一体の【ヴォランティア】を映す。胸を潰されて倒れていた機体は既に起き上がり、ライフルを構えていたが、フィンが頭部のマシンキャノンを放つほうが早かった。被弾し動きの鈍ったその胴にバトンを突き刺し、振り払う様に回転してすれ違う。

爆発に背を向けて倒れる【グラインド】の中、フィンは大きく息を吐いて汗を拭った。

「二人とも大丈夫?」

外部スピーカーで呼びかけると、駆け寄るアリーチェの姿を見つけ、ハッチを開いて飛び降りた。

「ケガ無い?」

「大変!」

尋ねるフィンに、アリーチェは慌てた声で言った。

「【ユーピテル】、大変」

簡潔な言葉に事態を呑み込んだフィンは、【グラインド】に乗り込むようにアリーチェに促した。

二人乗りは想定されていないが、詰めれば入らないことは無い。そう祈りながらグラインドへ乗り込もうとし、フィンはアリーチェを突き飛ばした。

砂に倒れる音同時に乾いた音が届き、フィンは腹部の痛みに身をよじる。睨んだ先に銃を構えた人影があった。ザムである。

汗と砂で顔を汚し、歪ませた両目でフィンを睨む。しかしその目は間髪入れずに動いたフィンによって驚き開かれた。

両腕で顔と胸部を守りながらの突進。

映画で稀に見る光景だが、現実に躊躇なくそれをする者に出会ったのは初めてであり、やった当人も初めての体験である。

アリーチェが起き上がるのと同時に二人は衝突した。

ザムは驚きながら反射的に発砲するも、その弾道はフィンの頬をかすめて外れ、無防備な腹部にタックルを受けて転倒。対してフィンも銃弾が外れこそしたものの、衝撃に頭を大きく揺らし、ぶつかった反動で仰向けにひっくり返ってしまった。

目の前で倒れた二人を見やり、アリーチェは拳銃を手に取る。だが、その銃口を向ける事無く、胸元で握りこんだまま固まった。

「……うん?」

はて、安全装置ってどれだっただろう?と首を傾げた所で背後から声がかかる。

「少尉殿ぉ。ちょっとよろしいでありますかぁ」

「なに?」

野太い声に、顔を上げて振り向く。

「爆弾が仕掛けられてるみたいなんでありますが、自分には学が無いものでして」

ディッパー、フィン、手元の拳銃と順番に視線を送り、ディッパーのもとへと駆け寄って拳銃を渡した。

「交代」

「へいぃ?」

ディッパーが目をぱちくりとさせる一方で、フィンとザムの二人は戦いは続いていた。

十数秒続いた殴り合いは、そのわずかな時間と多大な疲労によって佳境に差し掛かっていた。

ただでさえ炎天下の中を人型の絶叫マシンで振り回された後の殴り合いである。そればかりか、その気迫に反して二人の戦意は低い。

ザムにしてみれば、自分以外全滅した以上逃げ出してしかる状況である。素手で殴り合いなどしているのは、仲間を殺された事への八つ当たりであり、どうしようもない何かをヤケクソ気味にぶつけているに他ならない。

フィンにしてみればそんなザムの行為は鬱陶しいだけであり、勝手ながらとっとと逃げ帰ってほしいと思っていた。

「んあぁ!」

言葉にならない声を上げたザムだったが、その右手がズボンに触れた瞬間に生煮えだった頭が一気に冷えた。考える前に指を動かし、僅かに触れたそれをつまみだして投げる。

「え?」

きれいな弧を描いて胸元へと落ちたそれを見たソレをみたフィンの反応は速かった。

一瞬間の抜けた声を上げるものの、即座に持ち直して右手で包み込み、右腕もろとも手に持った手榴弾を地面へと押し込んだ。

衝撃と同時に砂が巻き上がり、フィンの体を後方へ吹き飛ばす。身体を打ち付け、無数の傷を負いながらも、フィンは口に含んだ砂を吐き出して大きく息を吸った。

「死ぬかと思った」

「死んでくれよ」

「死にそうなのは、お互様」

「だから先に死んでくれ。俺の気が晴れない。アンタ死なないなら……他を殺す」

そう言って【ペリカン】へとザムは目を向ける。

「あんたは僕の仲間を殺した。いい人――ではなかったかもしれないけど、大切な人達だった。だからあんたには同じ思いを味わってから死んでもらう」

足は震え、腕からは血を流して立っているのも辛そうだ。

そんな姿を見て、やれやれとフィンはため息をつく。

「ああ、そう。君は僕がよっぽど憎いみたいだけど、二人を殺しても僕は君を憎まないよ」

「は?」

「そういう生き方もあったんだろうけど、僕そういうの苦手でね。楽な方向に逃げちゃったから」

笑顔を見せるフィンに、苛立ちの交じった声をザムは上げる。

「分からないな。アンタは誰も恨まないで生きてるのか?」

フィンは答えた。

「自分が悪い」

「え?」

「守れなかった自分が悪い。弱かった自分が悪い。人のせいにしたって始まらないよ?」

その言葉の意味を分かりかねて動きを止めた。だが本能でそれを受け入れないと感じ、ザムはフィンに向かって拳を握り、鳴り響いた銃声と共に後方に倒れた。

「誰か忘れちゃいやせんかってね」

「さすが軍曹」

銃を構えて立つ巨体に、フィンはホッと胸をなでおろした。

「ずいぶんと無茶なされましたのぅ」

「生きてるなら十分です」

起き上がりながら、フィンは上着を脱ぎ、素早く右腕に巻き付けた。

「右手をどうかされたのでありますか?」

「あはは、大丈夫です」

誤魔化す様に振り回し、重くなった足で立ち上がる。

痛む体をさすりながら首を回すと、ディッパーの目を見開く顔が映った。

同時に聞こえた音に振り返ると、倒れていたザムが立ち上がったところだった。

「神に感謝!」

そう言って首元から十字架を引き千切り、銃を構えるディッパーに向かって投げつける。

ちょうど中央に銃弾がめり込んだ十字架を、避けられず額で受けたディッパーは拳銃を落とした。

慌てて拾い上げて発砲するが、既にザムは半壊した【ヴォランティア】に乗り込んでいた。

腹部を引き裂かれた【ヴォランティア】に乗り込んだザムは、血と焼けた匂いで思わずむせかえった。しかし口元を膨らませながらも再起動を速やかに行う。

ざっと見ただけでもセンサーなど複数の機能が死んでおり、とても戦闘を行える状態ではない。

ならば逃げるか?そう考え、何を馬鹿なとザムは頭を振る。

「せめて誰でもいいよ。殺して死ぬさ」

見れば【グラインド】そ再起動させたフィンがバトンを構えている。

勝算の無い事を理解しているザムは、【グラインド】が踏み出す前にその場から離れた。

鳴り響くアラート音を気にも留めず、一点を目指してアクセルを踏む。

飛び去る【ヴォランティア】を見てディッパーはへたり込んだ。

「に、逃げたんですかい?」

「違う」

飛び去った方向を見てアリーチェはどこへ向かったかを察した。

「【ユーピテル】大変」



口元をマスクで覆った男が【ユーピテル】へ向けてロケット砲を放った。

「こ、こんなに撃っちまって元は取れるんですか?」

五発目以降カウントしていないが、十発は確実に超えていると彼は確信している。

そんな彼を、かたわらに立つラムルが叱りつけた。

「弾代なんざ気にするな。撃って撃って撃ちまくれ」

続けて通信機を掴み、空中で機銃を放つヘリへと通信を開く。

「お前は無駄に撃たなくていい。隠れながら相手の気を逸らせ」

らちの明かない現状にラムルは苛立っていた。

グラインドを引き離したのはよかったが、同時に彼らも戦力を二分した為に火力不足に陥っている。

これは【ユーピテル】の頑丈さと、残った二機の奮闘ぶりが彼の予測を上回ったからであった。何より【グラインド】を相手にしているはずのザムらと連絡が取れないことが彼を苛立たせていた。

「早死にするんじゃねえぞ」

「……団長」

「そんな顔するな!俺にまかせておけ」

そこへユーピテルへ迫ったいた【ヴォランティア】から通信が入った。

『取り付きました』

「でかした。ブリッジを落とせるか?」

『任せて――うわぁ!』

通信越しに悲鳴が上がった。

乗り上げた滑走路が振動とともに傾いたのだ。バランサーによる抵抗も空しく、機体が地表へと落下する。

着地しようとスラスターで減速しようとしたその瞬間を、待ってましたとばかりにピートは銃弾を叩きこんだ。

炎を上げた機体が空中で回転し、開かれた脚部を天へ伸ばす様にして、頭部から地面へと突き刺さった。

「漫画かよ」

そう言いたくなるのも無理無い。そう近くにいた部下たちは思わずにはいられない。



飛来した迫撃砲に、掲げた防護盾で【セーフティ】が割り込む。

受け止める事には成功したものの、その勢いでバランスを崩した機体が、艦体へ接触した。

「まいったな」

衝撃に腰を浮かしながらイワンが冷や汗を拭う。

だが待ちわびた報告が入ったのはすぐの事だった。

「作業を終了したカルエム中佐以下全員の収容を完了しました」

「よし、こんな所とはおさらばだ。全速全身」

イワンの指示に、待ってましたとばかりに【ユーピテル】が加速を始める。だが容易に逃がす程ラムルも甘くは無い。

「ミサイル接近」

報告と同時に船体を衝撃が襲った。

立っていたソフィアをはじめ、何人かが席から放り出されて尻餅をつく。椅子にしがみついていた中にも、体をぶつけて抑える者もいる。

「被害報告」

いち早く立ち直ったソフィアが声を上げるが、それを遮ってオリバーの悲鳴が響いた。

「エマ!返事をしてよ」

「落ち着きなさい」

床にうずくまるエマをゆするオリバーを、ソフィアが制した。抱き起こし、意識のあることを確認して胸をなでおろす。

「動かさないで。火器管制は……」

「ソフィア」

振り向くきイワンと目を合わせる。

「頼めるか?」

わずかな逡巡の後に頷き、ソフィアはエマをオリバーに託した。

温もりの残る椅子に腰かけ、確かめるように操作する。

「懐かしいか?」

「そんなに何年も経ってません」

「そうだな。目標的武装ヘリおよびその近くの敵全て」

「了解」

ずいぶんとアバウトな内容だったが、聞き返すことも無くソフィアは頷く。

「主砲展開完了、装填良し」

砲塔が動くのを見てヘリが岩陰に隠れる。しかしそれをお構いなしにソフィアは発射スイッチを押した。

「当たれおんどりゃ!!」

気迫のこもった砲弾が巨大な岩山を貫通し、その背後のヘリを貫いた。

ある意味爆心地にいたオリバーは、文字通り雷に撃たれたような顔でそれを見ていた。



千切れるように折れ曲がったヘリが落下し、同時に大穴の開いた岩山が音を立てて崩壊する。

余波の様に流れる数十の落石が、近くに潜んでいた団員達を襲った。

「今のでほとんどがやられました。これ以上はもう」

首を振って報告する男に、ラムルは握っていた通信機を叩きつけようと振り上げた。しかし聞こえてきた声に動きを止め、耳を押し付ける。

『団……長ぉ』

「サム!生きてたか。悪運の強い奴だ」

『……みんな死にました』

どこか遠くへ向けて、あるいは独白のような声に、ラムルが声を荒げる。

「お前だけでも戻ってこい。命令だ」

『無理……です。上手く体が動かせない。真っ直ぐ機体を跳ばすのが……精一杯です』

「おい、おいザム?」

『……こんなに殺されて、誰も殺せないのは嫌です……不公平で。だから最後に何人でもいいから、殺させてください』

轟音と共にラムルの前に、腕の無い【ヴォランティア】が着地した。倒れそうになるのを無理やりに浮かせ、【ユーピテル】めがけて跳びあがる。

『俺は殺す側になりたくてあんたの誘いに乗ったんだ!ただ殺されるだけなんて嫌だぁ!』

叫びと共に一直線に【ユーピテル】へ向かう。銃撃を掻い潜り、船首を足場に艦橋を眼前に捉える。

鬼気迫る【ヴォランティア】の軌道に驚くと同時に、ラムルの目が【ヴォランティア】を追う【グラインド】を捉える。

「クソッタレ!」

高速で迫る【グラインド】へ向け、最後の一発となったロケット砲を放つ。肩部に命中し、装甲を破壊するが、グラインドは止まらない。



衝撃に傷が痛むのを我慢しながら、フィンは限界までグラインドを加速させた。

「大切なのはイメージ」

眼前に【ヴォランティア】を捉え、ユリの言っていた言葉を思い出す。

いつだったか一緒に見た彼女の国のヒーローに倣い、その身を弾丸にして【グラインド】を突っ込ませた。

破れたカーボン繊維が解け、首筋からマフラーの様になびく。

どこかヒロイックで現実離れしたポーズを決めた【グラインド】は、極めて現実的に人間を圧死させるべく、拳を突き出したまま加速した。

「デエェェイ!」

押し潰されながら右腕が腰部へと打ち込まれ、衝撃と勢いでフレームを捻じ曲げながら、【ユーピテル】を跳び越えて【ヴォランティア】が岩肌へ叩きつけられた。

それを追う様に【グラインド】もまた同様にその身を打ち付け、背部から地面へ落下した。

衝撃に意識を失いかけたところを、ユリの声に堪える。

『フィーン!大丈夫!?』

「な、なんとか」

フィンは笑って答えるも、しかし問題は機体である。五指は手の平ごと潰れて無くなっており、腕部にも無数のヒビが入っているのが見える。

恐る恐る操作し、突き上げるようにその腕を伸ばした。

思ったほどひどくない?などと思ったのもつかの間、装甲が音を立てて剥がれ、フレームは無残にも折れ落ちた。

『あーっ!』

悲鳴のようなユリの声と共に、それを見た者達が合唱した。

『こーわしたー!』

『テメェ殺すぞ』

最後のカルエムの言葉が決め手となってフィンは涙を流した。

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