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「飛んでる時に、何かの料理がくっついたんじゃない?」

「それも考えたけど、別の場所で付いたんだと思う」

「別の場所?」

「段ボール」


片付けの手伝いで段ボールを持ち上げた時、手を入れられる横の穴に付いていた何かの汚れ。

あれはよく考えたらオブラートだったように思えた。


「ここからは僕の推測。オブラートで穴を塞いだ段ボール、その中に蜂が入っていて、蜂はそのオブラートを食い破って外に出てきた。そして、香りに誘われて学校長の方へ飛んでいった。

蜂を追い払う、刺激するような動きに反応して攻撃体勢に入った蜂は、学校長に狙いを定めて刺した。

蜂によるアナフィラキシーショックには個人差があって、1度刺されただけで心停止になるくらい重い症状が出る人もいれば、腫れるだけで済む人もいる。

だから、絶対に死ぬとは言い切れないけど、死なないとも言えない。だけど、もしもその要因を作れる人がいるとしたら、僕には廉人しか考えられない」


沈黙があった。廉人の表情は何かを考えているようにも、ただ外を見ているだけのようにも見える。


やがて、廉人が口を開いた。


「すごいね雪夜。あれだけの材料でここまで組み立てたの?」

「じゃあ…」

「あの人が死んだのは、確かに偶然の積み重ねだった。だけど、蜂を用意したのは俺だ」

「ほんとに…?」

「そう思ったから俺を呼び出したんでしょ。そこまでばれちゃってるなら、雪夜には話すよ」


廉人は今までの事、生まれてからの事を語ってくれた。

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