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騒動の後、救急車と警察が来た。
僕たちも、状況を確認したいと事情聴取を受ける事になり、レセプションのリハーサルどころではなくなってしまった。
蜂の毒は短時間で症状が現れるらしく、学校長はすぐに来た救急車で運ばれたが、蜂毒アレルギーのアナフィラキシーショックで亡くなったそうだ。
「あの人はさ、前に山に行った時に蜂に刺された事があるんだ」
「だからあんなに恐がってたんだ…。蜂の毒は免疫がつかないって言うもんね…」
蜂は匂いに敏感な生き物で、花の香り以外にも香水や柔軟剤、ジュースにも寄っていく事があると言う。
黒色にも反応を示すらしいから、あの時近くにいた暗い色のスーツを着ていた学校長を警戒したのかもしれない。
「蜂がどこから出てきたのかはわからないけど、警察は不運な事故だろうって」
「うん…」
「コロンの香りも原因の1つじゃないかって。でも学校長に香りもののイメージないなあ」
「普段は料理するのに影響が出るからってつけないんだけど…。ただ今日は…母さんの命日だから。母さんがそういうの好きで、毎年この日だけはコレクションの中から選んでつけてるんだ」
「そっか。今でも大切に想ってるんだね」
「そうだね…」
事件の翌日。
この日は臨時休講となったが、僕はなんとなく家に居たくなくて学校へ来ていた。
今回の件は事故と見做されたのか、今日はもう警察官の姿は見当たらない。
さすがにこんな時に登校してくる人は少なく、いるのは昨日の料理の後片付けの残りや、何かの仕込みや準備をしていた人たちだろう。
特に当てもなく校舎の周りを歩いていると、会場となっていたホールの外へ来ていた。
「昨日、ここで…」
近付いて行くと、何かを蹴ったような感覚がして足元を見遣る。
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