11
「蜂?そんなのどこから」
「なんかでっかくない?」
「え、あれ大丈夫なの」
「皆さん、落ち着いて!攻撃しなければ襲ってきません。静かに下がって。窓を開けて外に出しましょう」
先生が注意を呼び掛けるが、なかなかざわめきは静まらない。
そんな中、蜂は何かに誘われるようにある一点へと向かっていった。
「ねえ廉人、あれ…。学校長先生の方に飛んでいってない?」
「……」
学校長は、蜂を見て一瞬強張ったように動きを止めた後、一転して追い払う仕種を見せ始めた。
「く、来るな、あっちへ行け!来るなぁ!」
蜂は攻撃されたと思ったのか、体勢を整えると一気に学校長へ向かっていった。
「来るな来るな!うわぁぁぁぁぁあ!」
束の間。音が消えたように感じた。
携帯を出しどこかへ電話を掛ける先生、
学校長へと駆け寄る先生、
首元を押さえる学校長。
ガシャン。
コップの割れる音で我に返った。
少し生温い風が肌を撫でる。
「刺された…」
「廉人?大丈夫?」
肩を震わせる廉人を支えるように寄り添うが、軽く押し戻されてしまった。
「ちょっと今、一人にしてほしい。…顔洗ってくる」
「廉人…」
僕はその背中を、ただ見送ることしか出来なかった。
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