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「蜂?そんなのどこから」

「なんかでっかくない?」

「え、あれ大丈夫なの」

「皆さん、落ち着いて!攻撃しなければ襲ってきません。静かに下がって。窓を開けて外に出しましょう」


先生が注意を呼び掛けるが、なかなかざわめきは静まらない。

そんな中、蜂は何かに誘われるようにある一点へと向かっていった。


「ねえ廉人、あれ…。学校長先生の方に飛んでいってない?」

「……」


学校長は、蜂を見て一瞬強張ったように動きを止めた後、一転して追い払う仕種を見せ始めた。


「く、来るな、あっちへ行け!来るなぁ!」


蜂は攻撃されたと思ったのか、体勢を整えると一気に学校長へ向かっていった。


「来るな来るな!うわぁぁぁぁぁあ!」


束の間。音が消えたように感じた。

携帯を出しどこかへ電話を掛ける先生、

学校長へと駆け寄る先生、

首元を押さえる学校長。


ガシャン。

コップの割れる音で我に返った。

少し生温い風が肌を撫でる。


「刺された…」

「廉人?大丈夫?」


肩を震わせる廉人を支えるように寄り添うが、軽く押し戻されてしまった。


「ちょっと今、一人にしてほしい。…顔洗ってくる」

「廉人…」


僕はその背中を、ただ見送ることしか出来なかった。


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