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「終わったー!60でこれか」
「本番は企画班の人たちもサポートに入ってくれるんでしょう。それまでにもっと効率良く回せるやり方を考えましょう」
「ひとまずは、みんなおつかれ様。僕は廉人とこれを運んでくるよ」
30個ずつに分けたカートを、会場に向けて出発させる。
「廉人もおつかれ様。なんだかもう仕事終わった気分になってくるな」
「まだこれからでしょ。ちゃんと美味しく食べてもらって、片付けが終わるまでが料理なんだから」
「それは学校長の教え?」
「…うん、まあね」
会場も準備が整っていた。
壁際にも装飾が施され、テーブルクロスが敷かれたテーブルの上にも、折り紙や手作りの造花が置かれている。
台が置かれ少し高くなっているステージに当たる部分には、スタンドマイクとスピーカーが準備されていて、本番には花を置くスペースなのか、マジックで“花”と書かれた段ボールがそれぞれ端の方に置かれていた。
綺麗に飾り付けられた会場の中で、無造作に見える段ボールになんだか少し違和感を感じる。
「デザートのスペースは…あそこか。もう結構埋まってきてるね」
「俺たちも並べよう」
2人で黙々とトレーからテーブルへと移していく。
全てを並べると、いつにも増して達成感が込み上げた。
「…すごい。この会場のもの全部、僕たちの力で作り上げたんだね。まだリハーサルだけど、本番ももっと楽しみになってきた!」
「その前にプレだよ。…ここで失敗する訳にはいかないんだから」
「今日の廉人は慎重度が増してるよね。大丈夫だって。そろそろみんなも呼んでくる」
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