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そこへ、ドアを開けて大津くんと飯田くんが入ってきた。
「おはよ!なんだみんなもう揃ってんのかよ」
「…おはよ」
予定されていた集合時間よりも、だいぶ早めに揃ってしまった。
ちょうど廉人も戻ってきたので、今日の流れを確認する事にした。
「今は8時半。プレ開始はいつもなら昼休みが始まる12時50分。その時にはもう全ての準備を完了させていないといけない」
話を廉人が引き継ぐ。
「まずはみんなで土台となるカップケーキを焼いていく。最初の分が焼き終わったら、飯田と天ヶ原がクリームを塗る、雪夜と俺がトッピング、大津はそのまま続きのカップケーキを焼き上げる」
「運ぶ時間を考えても、余裕があるわね」
「待ってる時間が持ったいねーからもう始めちゃおうぜ!」
他の班も動き始めたところがあるようだ。
僕たちもコックコートへ着替え、調理を開始した。
まずはみんなでカップケーキの生地を作り、カップへ流し込む。
トレーに均等に並べると、余熱していたオーブンへと慎重に入れていく。
時間を確認してセットすると、また次の分の生地作りへと移る。
「思ったよりも休んでる時間ないかも…」
「雪夜、本番はこの何倍も作るんだからまだ気を抜くなよ」
僕と廉人は作業的には最後の順番なので、束の間の休憩となった。
「そういえばさ、朝見たらオブラートが減ってたんだけど、廉人知ってる?」
「ああ、それ俺だ。家で練習したくて貰ってった。勝手に持っていってごめん」
「そうだったんだ。なら僕ももっと練習すれば良かったな」
「雪夜は充分出来てるでしょ。あ、最初の分が焼き上がったみたい」
ここからは話している余裕もない程に忙しかった。
クリームが塗られたカップケーキにイラストを描いたオブラートを乗せ、その周りにもクリームと、カラースプレーなどをトッピングしていく。
出来上がったものを全てトレーに乗せ終えると、誰からともなくイスに座り込んだ。
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