4


うちの学校は、学生の自主性を重んじているのか、空きコマや放課後などに第2調理室を自由に使えるように開放している。


上限はあるが、農家の方のご厚意で回してもらっている規格外の野菜や、前日までの実習で余った材料があれば、手続きをすれば使うことが出来る。


僕と廉人は学生課で受付を済ませ、ついでに2人分の白米を購入すると、食材の保管室へ向かった。


「今日は何があるかな」

「この時期は料理班が自主練に持っていってそうだね」

「そっか。何もなかったらバター醤油ご飯にでもしようかな」

「ふふっ、それ、曲がりなりにも調理師目指してる人の台詞?」


保管室に着くと、思いの外野菜が残っていた。


「すぐに出来そうなものだと、おひたしとかサラダとか?」

「お米を炊く時間があるから、もうちょっと手間掛けてもいいんじゃない?もしかしてお腹空いてる?」

「実は今日、お昼ちゃんと食べる余裕がなくて」

「フライパンを使って、生米から調理出来るレシピもあるけど、炊飯器で炊き込みご飯も美味しそうだよね」

「それもいいかも!前に食べたサツマイモと栗のご飯美味しかったな。ここにあるのはゴボウとニンジンとシイタケと…」

「生姜も少し入れてみない?」

「鶏肉も入れたいけど、さすがに今はないね」

「その代わりにはならないけど、取りあえずこの油揚げをもらっていこう」


調理室へ移動すると、料理班の学生たちで賑わっていた。

空いているスペースを見付けると、持ってきた材料を広げる。


「良い匂い。ますますお腹空いてきちゃうよ。僕たちも早く作ろう」


二人で作業を分担すると、早速調理に取りかかる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る