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「あー、やっぱ俺絵苦手だわ!」
「大津って、なかなかの画伯だったのね。これは前衛的」
「は?ゼンエイテキってどういう意味だよ」
「それくらい、辞書引いて調べなさい、自分で。英くんは?」
「一応描いてみたけど…」
廉人の絵は、下手ではない。ある程度特徴も捉えていて、どれがどの先生かもわかるのだが。
「…普通だな」
「普通が1番コメントしづらいのね」
「なんだろう、あともう少し何かが足りないような…」
「…大津より全然上手い」
「…みんな、無理にコメントしなくてもいいよ。雪夜の方はどんな感じ?」
「あ、僕のはこれ」
手元の下絵を、みんなが見える位置に差し出す。
「いいじゃん!」
「これならなぞりやすそうね」
「…わかりやすくて愛嬌もある」
「実は自分でも結構上手く描けたと思ったんだよね」
「そこ謙遜しないのかよ!」
「俺も、雪夜のがいいと思うよ」
思いがけず満場一致で僕の絵が採用される事になった。
「メニューの方向性も決まったし、運営班に申請する材料のリストアップをしておくよ」
「あ、それは僕がやるよ。一応班長だし」
「大丈夫。班長こそ仕事多いでしょ。これくらいは任せて」
「ありがとう。じゃあお任せする」
今日は試作までする予定だったが、下絵をどうするかで思ったよりも時間を取っていたのと、肝心のオブラートもなかった為、取りあえずは解散となった。
「廉人、この後予定ある?」
「特にないけど、何かするの?」
「うん。“自主練”と言う名の夕御飯を作っていこうかなって思って」
「なるほど。それなら俺も便乗しようかな」
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