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ここは、食や料理が好きな人が集まる場所だが、実家が飲食店をやっている影響で入ってくる人もいる。

その中でも、和菓子屋12代目候補の砂桐さんはなかなかに異色な存在である。


和菓子作りとはあまり結び付かないように思えるが、入学は本人の希望だったそうだし、どの授業も楽しそうに受けているし、何より腕が確かだ。

今回の班分けの時も、彼女の名前を何回か聞いた。


「まだメニュー決まってないの、うちだけなんだよね…」

「それなんだけどさ」


そう言うと廉人はスマホの画面を見せてくる。


「こういうのはどうかなと思って」

「“オブラートアート”?」

「そう。この前偶然テレビでやってるの見てさ、結構簡単そうだし、他の班とも被ってないし、いいかなって」

「わ!食紅使うとカラーのイラストも出来るんだ」

「下絵をなぞって写すだけだし、先生たちの似顔絵描いても面白そうじゃない?」

「それ面白そう!この後みんなにも聞いてみよう」




僕が班長のデザートA班は、僕、廉人、天ヶ原さん、大津くん、飯田くんの5人構成だ。

廉人のアイディアの似顔絵オブラートアートケーキは、班のメンバーにも好感触で、早速試作品を作ってみることになった。…のだが。


「肝心の似顔絵どうするよ…」

「誰か絵得意な人いる?」

「俺はダメだぞ!美術1取ったことあるくらいだからな!」

「大津、それ自慢気に言うことじゃないし…。英くんはどうなの?なんかさらさらっと描けちゃいそうだけど」


みんなの視線が廉人に集まる。


「あー…、俺も絵はあんまり。雪夜の方が上手く描けるんじゃないかな」

「それ出来る人がよく言う謙遜なんじゃないかー?」

「あのさ!それなら実際にみんなで描いてみて決めない?」


と、僕の提案でそれぞれ下絵になるイラストを描いてみる事になった。


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