3 〈剣の王子〉
ビアズ村の朝は、
ふぅっふっふっふっ
という低い笑い声で始まる。
「……やっぱりいいわぁ、このキレ味、この輝き……」
ディジーが薄く笑いながら、徹夜で剣を磨いていた。
「いつも商売熱心だねえ、ディジーちゃん」
隣の食堂のおばさんが声をかけた。それ何か違う。
「……実はね、ディジーちゃん。本当は内緒だって口止めされてるんだけどね、ウフフ」
こういう前置きのときは100%話したがってるぞ。
「ディジーちゃんに縁談があるんだよ」
「はあ?」
思い切り間の抜けた声を出すディジー。
「いやね、昨日ね、ディジーちゃんのこと根掘り葉掘り訊いてった人がいてさ。あれ絶対、縁談の身元調査だよ、ウフフ。
ま、ディジーちゃんももう23だしねえ」
ちなみに、アーマの母ウィニーは19で結婚して20で出産した。
「縁談ねえ……」
なぜか一瞬、ユンの顔を連想し、慌てて振り払う。
「……で、どんなこと喋ったの、おばさん」
「そりゃーありのままさ。ディジーちゃんは男より刃物が好きだとか、毎晩刃物磨いてニターッと笑ってるとか」
このおばさん、縁談壊したいのだろうか。
「他には?」
「あんたの親父さんのロバーはどんな人だったとか、どこから来ていつ頃ここに住み着いたかとか、訊かれたねえ。あ、そーそー、オノの話面白がってたよ」
「オノ?」
「ほら、アーマちゃんが作った、こないだお客さん殺し損なった奴。あの話、割と有名になってるらしいねえ」
死んでほしかったのだろうか。
「……もしかして、アーマの話も訊かれた、とか」
「そうだね、割と熱心に聞いていったねえ。あんたにとっちゃあの子は妹みたいなもんだし。ちっこいけどすごい魔術師なんだって言ってやったら、感心してたよ。
そういや、オルトのじさまとウィニーがオルガン村に来た頃って、ロバーがここに住み着いたのと同じ頃なんだね。あれから、25年も経つんだねえ。三人とも、もう死んじまったけど」
「……」
ディジー、しばらく無言になる。
「……おばさん。あたし、今日、店臨時休業にするよ。ちょっくらオルガン村に行って、アーマの顔見てくる」
「そうかい?」
おばさんと別れて、店の奥に戻る。自分の部屋の棚の中から、売り物ではない剣を取り出して、見つめる。
「親父、じさま。あの子はあたしが守るよ、絶対」
「やっほーアーマ、今日ここに泊まってってもいい?」
「いいですけど、珍しいですねえ♪ ディジーさんがウチに泊まるの」
……オルガン村には割によく来るディジーだが、日頃は絶対アーマの家には泊まらないのだ。爆発するから。
きぇーっっ ごつっ ばごっ
背後から何かにタックルをくらい、ディジーが壁に激突した。
「あー、ダメですよぉグリちゃん♪ いきなりじゃれついちゃあ♪」
最近は別の危険も存在するようだ。
グリフォンのグリーデル、最初は子猫くらいの大きさだったのだが、あっという間に成長し、今では中型犬サイズ。飛んでくるため、さらに加速がつく。
「グ、グリーデル……お前はぁっ!」
グリーデルが狙ってるのはディジーの剣。刃物が好きなのは同じらしい。モンスターと人間という種族の差を越えて、本気で剣を取り合っている。
「渡すかぁっ!」
きえーっっ
「ほおらグリちゃん、コレとっておいでっ♪」
アーマがいきなりカマを投げた。
……持ち主である村人の家まで一直線に飛んでいく。
そのあとを、グリフォンのグリーデルも猛スピードで飛んでいった。
「うっぎゃああああっっ!」
カマ、さらにはグリフォンにまで追いかけられる村人。
「……ねえアーマ、あのカマ射程何m……?」
「大丈夫ですよぉ、当たる前にグリちゃんがくわえちゃいますから♪」
そういう問題か?
「でも、どーしたですぅ? ディジーさんも、剣なんか持って」
「い、いや、ちょっとね」
ごまかすようにキョロキョロと室内を見回すディジー、ふと何かに目をとめる。
「……コレ、例の肖像画だね」
オルガンの中から出てきた肖像画が、飾られていた。毎朝爆発する家の中で、どうやって無事原形を保ってるのだろう。
「えへ♪ ……何か、気になるですぅ、この絵」
アーマもじっと絵を見る。
「あ、でもでもぉ、ユン様もカッコいいですぅ♪」
「ユン様ねえ……」
「えー、ディジーさんカッコいいと思わないですかぁ?」
「い、いや、そんなことはないけど……」
ユンは実を言うと割と女性っぽい顔立ちなので、〝カッコいい〟より〝キレイ〟という言葉が似合うのだが。
肖像画のほうは、年のころは多分17、8。美形だが女性っぽさは全く感じさせない、どちらかというと精悍なタイプである。
きえーっっ ごつっ どてっ
カマをくわえて戻ってきたグリーデルが、再びタックルをくらわした。
「……上等じゃないか、ええ!? この剣のサビにしてやる!!」
きえーっっ
ディジーVSグリーデルの第二ラウンドが始まった。
「次は何投げようかな♪」
まだあるんかい。
一応、居住部分と工房は部屋が別なアーマの家。爆発するときは建物もろともなので、あまり関係はないが。
「そーいやこの家、あんだけ毎朝爆発して、どーしてその日の夜までに元に戻ってるんだい?」
夜中、工房で創作に励むアーマを眺めつつ、ディジーがかねてからの疑問をぶつける。
「建物全体に、記憶した位置に戻る魔法かけてあります♪」
……つまり、元の位置に戻ってるだけ。くっついたわけではない。
「……てことは、地震でも来たら……」
「がらがらがらっ、どしゃっ、ですね♪」
笑い事ではない。
「……ちょっとアーマ、このカマ借りるよ」
言うなりディジーが、窓の外にカマを放り投げた。
中の様子をうかがっていた不審な男が、慌ててカマをよける。
きえーっっ ぼごっ
しかし、続いて飛んできたグリーデルはよけきれず、直撃をくらった。
その間に、ディジーが剣を抜いて表に走り出る。
「うっぎゃあああっっ!!」
どこか遠くのほうで、カマとグリフォンに追いかけられている村人の悲鳴が聞こえるが、この際気にするまい。
「何者だ、お前。なぜこの村を探る!?」
不審者に斬りかかるディジー。不審者も短剣で受けとめる。
「そりゃこっちのセリフだ、どーゆー村だここはぁ!?」
お前が正しいぞ不審者。
次々と攻撃を繰り出すディジー。これには不審者も意外だったらしく、防戦一方である。ディジーの剣は、刃物好きの割には刃がないので斬撃というより打撃という感じだが、それでもくらうと痛い。
「どこの手先だか、捕まえてゆっくり吐かせてやるよ!」
「それは困る」
背後からの声。と同時に嫌な気配。慌てて身をかわす。
もうちょっとで、もう一人の不審者に刺されるところだった。
「二人……かい、全く」
ディジーがちっと舌打ちしたとき、
「行っけぇ、〈必殺! クモの巣くん2号〉!!」
不審者Bがクモの巣のエジキになった。
「何だっこのネットは……ぷっ、くくく、うわーはっはっは、ぎゃーはっはっはっ!」
「改良して、くすぐり機能つけてみたんですけど♪」
どのように改良したらそうなるんだ……?
「くーくっくっくっ……し、死ぬ、助けてくれぇ……」
笑いもだえる不審者B。そういう〝必殺〟だったらしい。
あまりのことに呆然とするディジー、突如我に返る。
「しまった! 一人逃げられた!」
不審者Bが大笑いしている間に、Aは逃げ去ったのだった。
「大丈夫ですかぁ、ディジーさん♪」
「……あたしは大丈夫だけどさあ……」
笑い疲れてピクピクしている不審者B。敵ながら哀れだ。
「それにしても、ディジーさんもけっこー強いですねえ♪」
最強はアーマだと思う。
「……ま、親父に仕込まれてっからね、一応」
ピクピクしていた不審者B、翌日ディジーがこのあたりを治めるレント王国の役人に突き出したのだが。
「あの男、釈放されたそうですよ」
さらにその翌日、オルガン村を訪れたユンが言った。
「釈放!?」
ちなみにディジーはずっとビアズには帰っていない。
「まあ、レントのお役人にしてみれば、アーマさんが危害を加えたようにしか見えませんからねー、はっはっは」
……確かに。
「でもっ……!」
「アーマさんのことを探っていた、と言いたいのでしょう?」
「……まさか、ストーレシアの手の者じゃないだろーね」
「ここに堂々と監視役がいるのに、密偵送る必要ないですよ」
「あんた開き直ったねー、最近」
「それはどうも、はっはっは」
誰も誉めてはいない。
「かといって、教団が『釈放するな』と口をはさめる問題でもないですし。まあ、すでに一人逃げられているんですから、報告は上に届いてしまっていると思いますよ。もう一人釈放しても害は増えないです」
「報告ってどこに」
「彼らの直接の依頼主なんて、どうせ下っ端ですよ。本当の依頼主は彼らだって知らないでしょう」
「……妙に、自信持って言うじゃん。心当たりでもあんの?」
「ないこともないですよ」
さらっと言ってのけるユン。
「!!」
「教えてもいいですよー。ただし、アーマさんの前で、ね」
「ユン様、それは……!」
「好き好んでアーマさんを危険な目に遭わせたくはないですが、彼女は巻き込まれているんですよ、すでにね。
だったら何も知らないより、事情を知っていたほうがアーマさん自身も対処できて、危険が減るんじゃありませんか?」
ディジー、言葉に詰まる。
「……言うことはもっともだけどさあ、あたしには何か、あんたがバラしたがっているよーに見えるんだけど……」
「そうですか?」
その頃アーマは。
「うーん、〈クモの巣くん〉やっぱ改良が必要かな♪」
◇
ユン・シュリが、ディジー・リンとアーマ・カレに語る。
「27年前、になります。もちろんアーマさんもディジーさんも私も生まれていない、昔の話ですけれどね。
ここから北の方角に、フリーダという王国があって、一人の王子がいました。名前はジェダ・ロー。当時18歳で、王国一の剣の使い手だったそうです。
その国に、あるとき強大なモンスターが現れました。国をあげて討伐に乗り出したのですが、とても敵わなかった。それで国王は、当時フリーダに滞在中だった魔術師……アーマさんのおじいさんのオルト・カレ師に、何か方法はないかと相談したんです。
そして、オルト師は一本の剣を作り出した。その剣で、王子がモンスターに戦いを挑みました。モンスターは倒され、戦いは王子の勝利に終わった、と思われたんですが……。
その剣は、斬りつける度に相手の力を吸い取り、自分の攻撃力に変える、というものだったそうです。つまり、戦いが終わる頃にはモンスターの力の半分以上が剣のほうに宿っていた。その、剣に吸収されたほうのモンスターに、まだ意志が残っていたんです。
モンスターは、剣と、それを手にしていた王子を支配しようとした。初めのうちは王子自身の精神力である程度抵抗していたようですが、支配されてしまうのは時間の問題でした。それで、ストーレシア教団の神官たちが、王子ごとモンスターの宿った剣を封印したんです。
……これが、〈
「事件のあと、オルト師はフリーダを離れ、2年ほど各地を転々としてこのオルガン村に住み着きました。というより、ストーレシア教団の監視のもと、連れてこられたと言ったほうが正確ですがね。
教団は、オルト師がまた危険な物を作るのではないか、と危惧していたんです。その一方で、真に〈剣の王子〉を助けられるのはオルト師だけかもしれない、という意見もあった。
正直に言うと、教団も一枚岩ではないんですよ。オルト師に研究を続けてもらえば、モンスターだけを倒して王子を救うことができる手段を見つけられるかもしれない、と考える一派と、……今すぐに、〈剣の王子〉ごとでもモンスターを滅ぼすべきだ、という強硬派とね」
「!!」
「ストーレシアは〝待ち〟の嫌いな宗教です。モンスターをわざわざ探しに行って退治するような教団ですからね。
カールア中の高位の神官を駆り集めてくれば、80%くらいの確率で〈ディルムント〉を消滅させてしまうことができると言われています。ただその場合、間違いなく王子も助からない。
私個人としては、〈剣の王子〉を救う手段をオルトさんに見つけてほしかった。実際、オルトさんはずっとその研究をしていたんですから」
ユンの言葉に、ディジーが口をはさむ。
「……話はわかるけど、アーマを探っていた連中の説明にはなってないね。教団の、その〝強硬派〟って奴等じゃあないんだろ」
「……王子の存在を、邪魔に思っている人々がいるらしいんですよ。彼らは、教団が王子を始末してくれるといい、と考えている。だから、王子を救う手段を見つける可能性のある、オルト師が目障りだったようです。オルトさんが亡くなった今となっては、アーマさんになるんでしょうね」
「だって、アーマは今の今まで何も知らなかったじゃないか!」
「向こうはそうは思いませんよ。
彼らは、封印されている王子を見つけ出して、その封印を解いてしまおうと考えている節さえある。王子を救う手段がまだ見つかっていない今では、もしモンスターが解放されたら、王子ごと消滅させるしかないんです。モンスターによる被害が出るかも知れませんが、最終的に教団で退治が可能なのはわかっているから、大事にはならないと思っているんでしょう」
「どこのバカだい、そんなムチャクチャなことを考えるのは」
「……フリーダ王国、ですよ」
「……何だってぇ!?」
◇
カールア大陸北方、フリーダ王国。
〈剣の王子〉の事件後すぐ、王子の父である国王が他界した。
国王には王子の他に子がなかったため、宰相のベルに国を託した。ベルも誓った、『王子還り来しそのときまで、フリーダを預かる』と。
それから27年。病床の国王から国を託された初代の執政もすでにこの世になく、現在国を治めるのは二代目のハザー・ベル。
ハザーには、一人娘がいる。サイア・ベル、21歳。もちろん〈剣の王子〉の事件後に生まれた者であり、生まれたときから常に彼女は、国の最高権力者の孫であり娘であった。もしもこのまま何事も起きなければ、ゆくゆくは自身が三代目の執政になる。
「『王子還り来しそのときまで、フリーダを預かる』、ねえ……」
そうつぶやいて、サイアはふっと笑う。
「私は、そんなのは嫌だわ。預かっているだけだなんて。私はこの国の、正真正銘の最高権力者になりたいのよ。代理なんかじゃなくってね。
苦労してこの国を統治しておいて、王子が戻ってきたからって、はいお返しします、なんてのは納得できないわ。そうでしょう、キオー?」
「その通りでございます。王子などいなくても、この国はベル家が27年間立派に治めてこられたのです。すでに事実上の王でございます」
そう答えたのは、サイアの側近である。もともとこの国の者ではないが、妙な情報に通じているところがあって、サイアに気に入られたのだ。
「しかしサイア様、あまり派手に動かないほうがようございますよ。ストーレシア教団が、フリーダにも目を向けているようでございますから」
「何もできやしないわよ、あの者たちにはね。
モンスターを倒すためには、どれだけ人間を巻き込んでも全然気にしないくせに、人間が単独でしていることには手を出せないんだもの。『どのような人間であっても、この世界の秩序のうち』とかどうとか、教義に縛られてね。でなかったら、27年前にあの〈ディルムント〉を作ったオルト・カレとかいう危険な魔術師を、教団が始末していたわ」
「さようでございます」
側近がうなずく。
「ところでサイア様。また面白い話を耳にしたのでございますが」
「……今度は何……?」
「魔法のオルガン、〝魔オルガン〟とでも申しましょうかね」
そのような言葉は世間に存在しない。
「レントのあたりから聞こえてきた噂なのですが、オルガンが夜になると数を数えるのだそうでございます。そして、99まで数えると『ひとつたりない』と言って泣くのだそうで」
違う話になっているぞ。
「……たりないって、何が……?」
「面白い話でございましょう?」
……こいつの情報網、絶対何か間違ってる。
◇
ユン・シュリの話は続く。
「現在、フリーダ王国の玉座は空のままになっています。どんな状態であれ王子がまだ生きているうちは、それを排斥して別の王を立てることには国民の間で抵抗が強い。だから、王位を狙う者にとっては〈剣の王子〉の存在は邪魔なんです。
確証はありませんが、執政の一族の中に変な動きがある、という情報がある」
「……その執政だって、王子がモンスターと戦ってくれたからこそ今、命があるんだろ? んな恩知らずな……」
ディジーの言葉にユンが苦笑した。
「世代交代が進んでいるんですよ、フリーダでもね。私やあなたのような、事件後に生まれた者には、王子が国を救ったという実感はないらしいです。それどころか、剣に支配された王子をモンスターと同一視するような感情も一部にはあるみたいですね。一度モンスターに乗っ取られた者が還ってきて、王に立つなんて、と。
とにかく、王子に還ってきて欲しくないと思う者が、確実にフリーダにはいる。そういう人々にしてみれば、王子を救おうと考える人間、救う可能性のある人間も邪魔なはずですよ。オルト師の孫で、しかも魔力付与術師であるアーマさんは、たとえ何も知らなくても『可能性がある』とみなされるんじゃないですか。それで向こうが、どこまで具体的な行動に出るかは知りませんが」
「具体的な行動って……」
「教団のように監視し続けるだけか、……もっとむちゃくちゃな者たちなら、『消そう』とか考えるかもしれませんね。教団に王子を始末させるために、モンスターを一時的に野放しにしても構わないような人たちですから」
「……ウソだろ」
「嘘じゃありませんよ。だから、アーマさんが何も知らないままでいるのは逆に危険だって、言ったんです。今回のあの不審者は、もしかしたらフリーダの手の者ではないかもしれない。でも、それは危険が先に延びただけであって、いつかはアーマさんが発見される恐れがあるんです」
アーマはじっと黙って話を聞いている。
「完全に魔法から手を引いてしまえば、それなりに安全になるかもしれない。それとも、フリーダからもっと遠く離れた土地へ移るとかね。けれども根本的な解決にはなりません。〈剣の王子〉が存在し、その存在を消したい者がいる限り、王子を救える可能性のあるアーマさんの、潜在的な危険は残る」
「じゃどうしろって言うのさ!」
「根本的に解決すればいいんですよ」
さらっとユンは言った。
「アーマさんがオルトさんの跡を継いで、真に〈剣の王子〉を救う手段を見つけ出し、さっさと王子を蘇らせてしまう。それでもう、アーマさんが付け狙われる必要性はなくなります」
「ちょ、ちょっと、そんな研究やってるって知れたら、それこそ狙われるじゃないか」
「研究してなくても狙われるんなら、危険な期間が短いほうがいいでしょう? 王子を蘇らせたあと、フリーダ王国のほうで多少もめごとが起きるかも知れませんが、それはそっちの問題です。こちらには関係ありませんよ、はっはっは」
「……あんたも結構ムチャクチャなことを言うね……」
そのとき、初めてアーマが口を開いた。
「……その王子様が、あの肖像画の人なんですね?」
「アーマ……」
アーマはにっこりと笑って言った。
「私は、あのカッコいい王子様に、会ってみたいですぅ♪」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます