第19話 そういえばチュートリアルがまだだったな




ケイシュウは思い出す。

それは、御土流を習い始めてしばらく経った頃・・・





師匠「ケイシュウ、山に行くぞ」



突然、思いついたように言い出す師匠。

せっせと準備して郊外の山を目指す。


かなり田舎の方まで走った。



当時の交通費はべらぼうに高かったので

移動手段は徒歩である。

あんな距離をひたすらに走った。


(ああ、ますます人間離れしている気がする・・・)



到着したらもう夕方であった。

軽い食事を済ませて、山に入る。




師匠「さぁ、これから『チュートリアル』をおこなうぞ!」





ちゅーとりある ってなんだ?

また、師匠がわけわからんことを言い始めたな・・・



師匠は最近、近所に 謳州人の飲み友達 ができたらしく

妙な単語を口走ることが多くなった。



今回の『物の怪』討伐任務




鬼鶴×1





『物の怪』?『鬼鶴』?


師匠によれば、桜花国の田舎には当たり前のように『物の怪』が出現して人を喰らうなど迷惑をかけるらしい。それを討伐するのも御土流継承者の仕事だそうだ。


師匠ってちゃんと働いてたのか、毎日のんべんだらりと過ごしているから普通にニートかと思ってた。


『鬼鶴』は『初心者ビギナー向けの物の怪』だから、俺に倒させるように指導すると・・・なるほどなるほど





グギャアアアア嗚呼ああ!!!!





おぞましい悲鳴にも似た鳴き声が響き渡る。

山の鳥たちが驚いて一斉に逃げ出す。



師匠「ふ・・・わざわざ自分の位置を知らせるとは愚か愚か」



・・・嫌な予感




山を走り抜けた先に奴は現れた。

軽々と木をなぎ倒す身長が俺の3倍はある巨大な鶏

顔は般若の面をつけたようなナリをして、

口には血の跡・・・何を食べていたんだろう



あわわわ・・・




いや、無理・・・

俺の常識の範囲内だと 丸腰の人間が勝てる感じ じゃないから



「大丈夫だ」



「今回はチュートリアルだと言っただろう?・・・死にそうになる直前に回収してやる・・・『何度でもやり直し可』だ!!」



いい顔で親指を立てる、師匠




・・・何度でもやり直し、それなんて拷問






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