第20話 チュートリアルと最初の一歩
vs鬼鶴
でかい、ありえん
勝てる勝てないじゃなく
どうやって逃げるかを考える敵だろうに
こちらを視認した鬼鶴は、睨みつつジリジリ距離を詰める。
お腹は空いているようで狩る気満々だった。
ガウッ!!
地面の岩が砕ける威力で動く地面を蹴って迫る。
慌てて後ろに跳んで躱す。
土煙があたりに立ち込める。
「ビビってるんじゃないぞ」
木の上で観戦する師匠
このいつもと変わらない調子、この程度日常茶飯事だとでもいうんだろうか。
「ダメージを受けても問題ない・・・むしろゲージが溜まる」
何のゲージ?
体重差があり過ぎる。
速度も疾い。組み合ったら押しつぶされて終わりだ。
銃も弓も槍も・・・何もない。
そんな状態でどうやって勝てと?
脛蹴り程度じゃ到底無理だろうが・・・
『大丈夫、御土流は、脛蹴りは最強だ』
俺がどんな弱音を吐いても、きっと師匠はこう返す。
何度失敗しても・・・回収してくれるんだったか
だったら・・・玉砕覚悟でやってやるッ
ケイシュウが覚悟を決めて飛び込もうとした瞬間、師匠の檄が飛ぶ。
「こら」
なんとか踏みとどまる。
「ポケインしないとは何事か!!」
ああ、
ポケインこそが礼儀正しいんだっけか
へいへい、やればいいんでしょ
手をポケットに入れる。
ん、視野が少し広くなったかな?
・・・
この位置、良くない
脛蹴りしやすいのは・・・敵が坂の上、俺が坂の下がベスト。
ジリジリと動いて相手を誘導する。
こんな時ですら、思い出す。
最初の修行で、ずっと正座のまま立てなかったあの時を
迫ってくる敵がさっきより遅く感じる。
敵が転がり落ちない様に体重を支えた方の足を・・・
崩れ落ちる鬼鶴と大きく息を吐くケイシュウ
勝敗は一瞬で決した。
「なんてことはない、簡単なチュートリアルだったろ?」
「・・・」
「言った通りだ、最初の脛蹴りから立ち上がる修行が一番の難関、それ以外はどうということもない」
確かに最初のアレは一番苦しかったが、
今が苦しくないわけではない。
師匠は上機嫌だった。
その後、近くの村に1週間ほど滞在することとなる。
料理が特に味噌汁に入っていた鶏肉が美味しかった。
「それ、お前が仕留めた奴だぞ」
「・・・」
まぁ弱肉強食は世の摂理ということで
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