第13話 ミシェル君の憂鬱



俺はミシェル=ヘルドールだ。




ヘルドール家の長男として生まれた。

名家ヘルドール家の名に恥じぬように、両親の期待に応えるために

俺は強くなるため必死に魔術に打ち込んだ。


だが、

この間、模擬戦で負けた。

しかも桜花国出身のサルに



奴に喧嘩を売らなければそうならなかっただろう。

たかが桜花の人間にどうしてそこまで腹を立てたのかいまだに不思議だ。

ただ、奴のマイペースで余裕な態度が

焦る自分と正反対に見えたからだろうか・・・



「お兄様、お帰りなさい!」



屋敷の玄関まで俺を迎えに少女が駆け寄る。

妹、アメリ、5歳

俺の天使であり、生き甲斐だ。



ふと、見下ろす

ニコリとほほ笑みかける彼女



ああ、アメリは天使だ・・・



ふふ、これで今週一週間は頑張れるな・・・

奴の事は一旦忘れよう。

落書きした奴の写真を取り出す。



「あ、ケイシュウ、ケイシュウお兄さんだ」




!?




アメリの話によると

今日、公園からの帰り道、うっかり放した風船を奴に取ってもらったらしい。



「すっごく高く飛び上がってね・・・あの黒髪のお兄さん、とってもカッコいいの」




はは・・・



ケイシュウ!

絶対に許さん!




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