第12話 空虚な目的意識
意味がない
この言葉が口癖になったのはいつからだったか
ケイシュウ=ミヅチは考える。
連合国と帝国の領土争いに毛ほどの興味も感じない。
ただの幼い子供の陣地合戦のように感じる。
だから、このスパイ捜索の仕事もどうにも乗り気になれない。
意味がない・・・か
ふと、昔、
師匠に脛を蹴られて・・・立てなかった時の映像が頭にちらつく・・・
だが・・・今はまだ
リジェットさんに従っておく必要がある。
俺の目的のために、自分の利益のために、それは必要なことなんだ。
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パーティー会場の外に出る。
持ち場を離れるのはまずいが、外の空気を吸いたくなった。
男とぶつかる。
「おっと大丈夫か?悪いな急いでたもので」
髭の男は爽やかに去っていく。
・・・あの脛スネ・・・前に飯屋で見かけたことがあったな
ずいぶんお酒を飲みながら。「俺が祖国を救う」とかどうのこうの言ってたっけ
・・・まぁいいか
ん、あんな外見だったか?
微かな記憶を頼りに思い出す。
顔覚えるのホント苦手だ、こっちの人みんな同じ顔に見えるし
変装してる?
ケイシュウは奴を追う。
茂みの中から男の悲鳴、追いついた時にはもう遅かった。
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シスナと俺はリジェットさんの
リジェット「今回はまんまと出し抜かれましたね」
シスナ「無傷で差し押さえて、こっち側のスパイを炙り出す予定だったのに」
シスナ「ケイシュウ、あんたさっきから静かだね、まさかとは思うけど、死体見て気分悪くなったとか?」
ケイシュウ「なわけないだろ」
ケイシュウは思い出す。
生前、飯屋でにこやかに「俺が祖国を救う」と話すあの男のことを
あの男は気づくべきだったのだ。
ちっぽけな個人にそんなことが出来るわけがないと
予想すべきだった。
そんな甘言に乗せられた末路を
今日の気分は優れなかった。
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