第8話 最初の修行




朝早く・・・

道場の庭先で

ケイシュウと師匠は対峙する。




「さぁ御土流の最初の修行を始めよう」




もう一度確認しておくが、

最初の修行が一番の難関だ。


最悪、お前の心が壊れてしまって再起不能になる・・・それでもやるか?





「・・・ああ、男に二言はない」





ではいくぞ




そう言い放った瞬間、

師匠は・・・手を袖に隠す。




トン・・・




十分に注意していたつもりだった。

まばたきひとつせず、師匠の一挙手一投足を凝視していたつもりだった・・・



だが、既に脛を蹴られた後だった・・・




いっ・・・


痛ったああああああああああああああああ





蹴られたと認識したと同時に痛みが全身を駆け巡る。

痛い、痛い、脛蹴られただけなのに尋常じゃなく痛い。




脛を抱えて、のた打ち回る。




師匠はのんびりとその様子を眺めていた。

「気絶もしないし、最も痛みが走るやり方で蹴った・・・まぁ楽しんでくれ」


なんか、拷問好きのヤバい人 みたいなセリフ吐いてる。





一時間後、やっと痛みがマシになってきた。





はぁ、はぁ・・・



「立てるか?では次だ・・・私に何か攻撃を加えてみろ」



・・・

恩人とはいえ、さっきのに少しはムカついた。

俺も師匠の脛を思いっきり蹴り飛ばしてやるぞ。


脛を・・・

脛を・・・・



額から汗がこぼれる。



膝が笑う。




膝が勝手に折れて、正座した。

師匠にこうべを垂れる。

膝が足が全身が、自分のいう事を聞かなかった。




「・・・ッ・・・立てねぇ」




さぁ・・・どうした?・・・・ケイシュウ・・・






$$$






朝、早めに目が覚める。

嫌な夢だった。

最初の修行



『アレ』を食らって、師匠の前で正座しなくても平気になったのは何か月後だっただろう



嫌な夢を見てしまった。




学術機関にて




勝負に負けた。

ミシェル君を遠目に見る。


俺を見るや否やビクビクしながら退散する。


この間までの威勢はどこへやら

ずいぶん沈んでいるようだ。



トラウマができるような蹴り方をしなかったから、正座することはないだろうけれど・・・

どうにも怯えているように見える。

俺もそんなに上手に蹴り分けられるわけでもないしな



でも、多分大丈夫(曖昧)




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