昔話は語られない
島にはかつて竜が一匹いた。その竜が異界の侵略者を退けていたので、崇められていたという。
その竜には番である魔女がいた。その絆は強く、魔女は竜をよく助け、竜と共に島を守っていた。
だが今は、竜も魔女もいない。
いや、魔女はいる。しかし、竜の番であった魔女は、もういない。
「竜や番の魔女に何があった?」
島の中心にある穴は果てしなく暗く、底は見えない。
「さあね」
穴の縁に座る魔女の返事は素っ気ない。番である魔女を知る数少ない一人だが、真実を包み隠し何も語らない。
「それより気を付けな。何か来るよ」
穴に向けられた魔女の視線が鋭くなる。彼も立ち上がり、剣を抜く。
竜も番の魔女もいない今、島を守るのは彼らの役目だった。
※300字
※Twitter300字SS参加作品。第61回お題「包む」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます