涙花草
あなたの涙に相応しい花が咲きます。
怪しげな謳い文句でチェーンの雑貨店で売られていたのは、掌サイズの植木鉢だった。小さな葉に囲まれ、固く閉じた蕾が一つ。
嘘だろうけどインテリアに良いかと思い、一鉢買った。
けれど、造花ではない手触りなのに一向に開花しない。
そんなある日、くしゃみや涙が止まらなくなり、目も痒くなった。マスクに頼る日々の始まりだ。
「あれ、咲いてる」
出がけに、見たことのない鮮やかな黄の花弁に気付いた。
どんな香りがするのだろう。
マスクを外して鼻を近付けた。すると花がくしゃみをするように揺れ、黄色い粉がぱっと舞う。
それから、くしゃみや鼻水、目の痒みがひどくなったのは言うまでもない。最悪。
※297字
※Twitter300字SS参加作品。第51回お題「涙」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます