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空色の瞳

 彼女は空と同じ色の眼を持っていた。彼女の眼が輝いていると空は澄み、曇れば雲が広がって、涙が落ちると同時に雨が降った。

 誰もが彼女の機嫌を取るようになった。特に、作物の出来が天候に左右される農民たちは。


 周囲にいるのはおべっかを言う人ばかり。

「そんなのただの偶然よ」

 彼女は雲が低く垂れ込める日、よくそう言っていた。そうだね、と僕が言って晴れ渡る空を、気まずい思いで眺めていた。


 ひどい嵐で畑が荒れ川が氾濫した時、人々は彼女を糾弾した。よくしてやったのに、恩知らずめ、と。

 彼女は人々の前で両目をくり抜き、投げ捨てた。


 晴れる日もあれば嵐の日もある。

 両目をなくした彼女は、今は僕の隣でいつも穏やかな顔をしている。



※Twitter300字SS参加作品。お題「空」

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