荒野の二人

「今から私が『姫様』で、あなたは『私の騎士』ね」

「急になんだよ」

「前にテレビで見たの。地球では昔、そういう主従関係があったんだって」

「俺とお前がいつ主従関係になったよ……」

相棒がげんなりと言う。

「ごっご遊びよ。だって、そうでもしないと――」

果てしなく広がる赤い荒野の先には、煙を吹くオリンポス山が見えている。

人類は火星の過酷な環境に耐えられず、建設して残った都市は二つだけ。一つは事故で壊滅状態、もう一つである第五都市は、オリンポス山の噴火で無事かどうかも分からない。

私と相棒は、生存者捜索を命じられた人工人間だ。

「気が紛れないじゃない」

遠くに見える第五都市のドームには、穴が空いているように見えた。



※お題「山」「テレビ」「伝説の主従関係」、ジャンル「SF」

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