アイスクリーム・メモリー
学校帰り、無人駅の小さな待合室で、二人で自販機で買ったアイスクリームを食べていた。おしゃれなカフェがある都会を羨ましがりながら。
あの頃は、私も彼女も、垢抜けない田舎の高校生だった。地元で進学して就職した私は、たぶん今も垢抜けていない。
都会に進学して就職した彼女は、すっかり垢抜けて、別人みたいだった。
「懐かしい、すごく」
都会へ戻る彼女を見送るため、二人で来た無人駅の待合室で、昔より値上がりしたアイスを買う。
一口食べて、彼女は涙をこぼした。
彼女は、私に楽しい話しかしなかった。華やかな都会には、けれど大変なこともあるはずだ。
「また、食べようね」
「……うん、ありがとう」
鼻をすすり、彼女はうなずいた。
※お題「アイスクリーム」「駅」
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