彼女の『魔法』
奇妙な力を持つため親に捨てられた少年に、とんがり帽子の女は言った。
「碧玉が宿る目を持つ者は魔法使いになれるんだよ」
清潔な衣服と温かい食事。貧しい家庭ではとうてい望めない高度な教育を与えられ、挙げ句の果てに希代の魔法使いの元へ送り出された。
「あの魔女気取りめ、最後はいつも俺に押しつける」
魔法使いのため息を聞く前から、少年は気がついていた。
「ですが、あの人は確かに魔法を使います。僕らのものとは違うけれど」
死にかけていた子供に、生きる力と気力を授け、その後の人生を開いてくれた。
それは、誰もができることではない。領主の妻である彼女だからこそ使えた『魔法』だ。
「……まあな」
ため息の後、魔法使いが呟いた。
※Twitterの「#魔女集会で会いましょう」というタグに触発されて書きました。
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