崖の上の彼
また始めたよ、と一人が声を上げ、浜にいた少女たちは一斉に同じ方角を見た。
海に突き出た崖の上に人影がいくつも。
崖の上から海へ飛び込むのは、村の少年たちの度胸試しとして昔から続いている。
だけど、真冬の海に飛び込むようになったのはこの冬から。誰が一番度胸があるか、何かと競っている少年二人が始めたのだ。
それはあっという間に村の少年たちに広がった。
今にも雪が舞い降りてきそうな寒空だというのに、少年の一人が着物を脱いで突端に立った。
遠目でもそれが彼だとわかる。
彼女が胸の前で両手を握りしめた瞬間、浜から悲鳴が上がる。
少し間を空けて崖の上から歓声が聞こえた。
波間から彼女に向かって手を振る彼に、ばか、と呟いた。
※Twitter300字SS参加作品。お題「試す」
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