未来は君のもの

「おぬしの未来を知っている」

 13日の月曜日、ガード下を通ると性別も年齢も不詳の人物がいて、その予言は必ず当たるという。

 都市伝説だと思っていたのに、出会ってしまった。思わず走って逃げたが「今月も残業が続くぞ」という声が追いかけてくる。

 長時間労働後の体はすぐに息切れして、歩くような早さになる。

「来月も残業だ。その次はない」

 声は相変わらず背後から聞こえるが、振り返る気力はなかった。

「再来月は定時で帰れるようになるわけだ」

大した予言じゃないじゃないか。

「いいや、土に帰るのさ」

 声の調子は最初と変わらなかった。なので、意味を理解するのに二呼吸かかった。

「抗え、運命に」

 振り返ったが、そこには誰もいなかった。

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