たくさんの記憶
粗大ゴミに出された私の新しい主は、いい加減な人だった。私を拾った理由は「捨ててあったから」。
前の主に初期化され、出荷当時の記憶しかなかった私に、新しい主はメモリーカードを取っ替え引っ替え、次々新しい記憶を突っ込んでいく。
「これ、ロボットの記憶ではないですよね」
私は早い段階で、カードに記録されているのはロボットではなく、人間の記憶――人格ともいえる記憶だと気が付いた。主が、そんなものをどうやってカードに収めたのか、家事ロボットの私には分からない。
「試してるのさ」
主は新しいカードを取り出す。
「たくさんの自我を持たされたロボットがどうなるのか」
なぜ試すのか、理由はない。主はいい加減な人だから。
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