0.2秒の奇跡

 何かと生き辛い現代社会、魔法使いは魔法使いだと知られてはいけない。それは、今に始まったことではないけれど。

 だというのに、若い魔法使いの間では魔法を撮影して動画サイトに投稿するのが流行っている。一般人はCGだと思い、魔法使いたちは、自分はもっとすごい、と新たな動画を投稿する。

 友人たちも流行りに乗っているが、僕は撮影すらしなかった。魔法が下手なので動画を見るのさえ辛い。けれど、とうとう僕も動画を投稿せざる得なくなった。仕方ない、これも付き合いだ。僕の腕前はどうせみんなに知られている。

 落ちた紅葉の葉を木に戻すが、すぐに散った。その間わずか0.2秒。

 けれど、たまたま居合わせた男の子は顔を輝かせていた。

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