私と彼のwin-winな関係

 私は現代のニッポンを生きる忍者。標的と親密になり、必要な情報を芋蔓式に手に入れる。


 今度の標的は手強いので、その近しい人物に近付いた。

「ねえ、先生。忍者っていると思う?」

 君の目の前にいる。家庭教師の私がそうさ。

 などとは口が裂けても言えない。

 標的と最も近しい人物が息子で小学生の彼だった。

「先生、お腹空いた」

 彼に母親はいない。父の帰りは毎日遅く、私が夕飯を作ることも多い。

 こら、好き嫌いはいけない。忍者な何でも食べるものだよ。

「別に忍者になりたいわけじゃないけど」

 なんたること。彼には忍者のカッコ良さをも教えなければならないらしい。

 情報を引き出すのも与えるのもさりげなく。

 それが忍者の私の務めである。

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