暗い炎

 暗い火を宿した人だった。

 幼い頃から一人を好み、友達はお気に入りのぬいぐるみだけ。学校に通う歳になっても変わらない娘を両親は心配した。

 彼女は孤独を好むだけでどこにでもいる普通の人だった。

 変わったのは彼女ではなく周囲の方だ。孤独を好むのは暗いと蔑み、唯一の友達がぬいぐるみと知るといっそう激しくばかにした。

 暗い火を宿した人だった。

 火が灯ったのは就学前。友達を作らないとだめだと両親に言われた時だ。孤独なのを否定されるたび暗い火は育った。

 彼女は孤独をばかにする同級生に火をつけて、暗い火を現実のものとした。孤独を否定した両親も友人だったぬいぐるみさえも灰にして、真実孤独を得た彼女は笑い、いつまでも泣いた。

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