ピロートーク

めぞうなぎ

ピロートーク

ちんは国家なり」

「膝枕は?」

「牧歌じゃない?」

「話の枕は?」

「とっかかり」

「抱き枕は?」

「睡眠を謳歌」

「枕を高くして眠ると?」

「目下が遠くなる」

「私、低反発だよ」

「どういうこと?」

「賛成します」

「ここにYES・NO枕があるからそれで言ってくれればいいのに」

「また文脈が違ってきちゃうでしょ」

「そう……。枕が通貨なら、お小遣いはお駄枕だね」

「それはただの品質の悪い枕では?」

「うまい、枕いっこ」

「いらないから」

「10個集めると豪華ハワイ旅行かメロンパンが入る金の枕がもらえるのに……」

「後者は一体?」

「毎晩メロンパンの夢が見られるアンデス、じゃないや安眠グッズ」

「メロンに引っ張られ過ぎだよ」

「はっ、安眠マスクメロン……」

「ちょっと黙って」

「クラウンメロンなんかそれ自体で王侯貴族が如く安眠が担保されているような名前じゃないか」

「黙んなさいったら」

「むにゃむにゃ……もうお腹いっぱいで食べられないよ――メロンパン」

「わけがわからない」

「メロンパンの皮が一枚――メロンパンの皮が二枚――だんだん眠くなる……」

「聞いてるだけでお腹がいっぱいになる話だね」

「満腹で幸福な状態のまま寝ようか――読む方ももうお腹一杯だと思うし」

「何の話?」

「夢枕に立ってる皆さんだよ」

「え? バクがそこにいるの?」

「『陰陽師』の文庫本がそこにあるから一概に違うわけではないけど――ともかく、おやすみ」

「おやすみ――ちょっと、腕枕して」

「メロン一個分の力こぶが自慢のこの腕に頭を預けたいと?」

「大嘘ついてんじゃないわ。寝顔に生ハム乗せてやろうか」

「(サッ)」

「NO枕でガードするな」

「明日の朝もちゅーで起こしてくれるんでしょー?」

「考えとくわ」

「素直じゃないなー。ほら、YES枕あるよ?」

「おやすみ」

「もう……」

「……」

「……」

「……」

「メロンパンの皮が一枚……」

「耳元でうるさい!」

「厚い面の皮が一枚……」

「どういうこと!?」

「ぐぅ……」

「寝言なんだ……」

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ピロートーク めぞうなぎ @mezounagi

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