第4話 ドキドキ☆初めての闘争!〜離さないでその悪意〜

「兵を集めろ早く!山賊が暴れている!鎮圧に向かうぞ!」

精鋭の近衛部隊を率いて鎮圧に向かう

そう、鎮圧だ、討伐じゃなくて

しかも精鋭の近衛部隊の皆さんも実践経験無し

ふざけてんのか!

まぁ、統率がとれるだけまだましだろう

馬に乗って全力で飛ばす

「いいか、相手は凶悪な山賊だ!!

出会い頭に殺害しろ!これは命令だ!!」

「「「はっ!!」」」

あくまで鎮圧だ

駆けて駆けて駆けて

全力で走る事しばらく

「止まれ!!あそこが拠点だという情報だ

総員、下馬!整列!」

うむうむ、迅速な行動、さすがは精鋭だ

「総員かかれ!全員殺害せよ!!」

雄叫びと共に突撃していく

まぁ、殺しを最終手段だと言っていたしよっぽど負けはしないだろうが

心配になるな

お、血の匂いがしてきた、殺ってる殺ってる

「敵の一部が何やら話しが違うと叫んでおりましたが」

「なるほど、なにかこの事件を裏から手引きしている者がいるのかもしれん、拠点及びその周辺を捜索しろ!」

威勢の良い返事と共に散っていく部下達

まぁ、その黒幕って俺なんだけどね

神様の為だからね、ある意味聖戦に近い

神のご意志なのだよ

所謂、神が、それを、望まれた。という奴だ

「裏手からこのようなものが!!」

「なんだこれは・・・!」

「エイヴァロン領の、鎧・・・!?」

あ、エイヴァロン領ってのがウチの北にある領地でして、当然私が仕組んだモノです

「それも近衛騎士のものだ・・・!」

親睦の証として昔貰ったんだよね

飾りがこのような形で使えるとは

実用性のない鉄屑を有効利用してあげたのだからむしろ感謝されてもいいと思う

「つまり、村を生贄にしてまでこの私を殺そうとした、ということか・・・!!

王都に使者を送れ!城から本隊を連れてきてこのままエイヴァロン領に侵攻するぞ!!」

エイヴァロン領を手に入れたら何しよう

とりあえず武器の生産だよね!

いやいや、まず戦争に勝たなきゃだよね☆

「戦争を起こす気ですか!?会議をして処罰を求めましょう!」

ばっかやろぉう

それじゃあお前・・・意味が無いんだスカポンタン・・・

「村を1つ潰してまで殺しにきたのだぞ!

会議などしている間にどれだけの人が犠牲になるか!!下手をすれば向こうから侵攻してきて、我等の民が、家族が犠牲になるかもしれんのだ!

早くしろ!」

「「「はっ!!!」」」

お、いいね、家族ってワードを出した途端目の色が変わったぞ〜

よしよし、いい感じに興奮しているな

初めての人殺しの後ってのもあるんだろうな

熱が冷めない内に畳み掛けなきゃ!

「諸君らは人を殺すのではない!家族を、友を守るのだ!!それは恥ずべき事ではない!!むしろ誇りに思え!!」

まぁ、近衛騎士の鎧が出てきただけでエイヴァロンがやったとも限らないし攻めてくる前提で話してるけど気付かないよね

まぁ自分の主人が戦争を起こそうとしているという可能性を考えないか

興奮状態って素晴らしいね

「装備の手入れとこの屋敷の捜査を!まだ何か出るかもしれん!休息も怠るな!」

血の匂いを嗅げ!

死体を見ろ!

興奮を醒ますな!

俺も意外と興奮してたのか思ったより時間が経っていたようで、本隊は早く来たように感じた

「エイヴァロン領主の館まで侵攻する

敵は発見次第殺害しろ、行くぞぉぉぉぉぉ!!」

「「「「おおおおおおお!!!」」」」

エイヴァロン領主かわいそっ!


エルダード城から王都までは馬で一週間

その内に決着を付ければ実質勝ちだ

ここから領主の館までは2日

この速度ならあと半日で着くから

一泊くらいしておくか

「もうすぐ森に着く、そこで一泊しよう」

「はっ、かしこまりました」

気の利く事に本隊の連中は遠征の用意までしてくれていた、おまけに銃、弾薬まで持って来てくれたし

やけに気が利き過ぎる、というのも気になるがまぁ今は良いか

だっておかげで肉を使った鍋が食える!

遠慮なく獣には銃を放てと言ったがこんなに獲れるとは!

うまいうまい

「あの領主様、よろしいでしょうか」

「あぁ、ランス君、そこに座りたまえ」

ランス君は、剣術に秀でて近衛騎士の中でもトップクラスの実力者だ

「この事件、何か怪しい気がするのです」

「怪しい、とは?」

「本当にエイヴァロンが仕組んだモノなのでしょうか、僕にはもっと大きな、何かを企んでいる者がいる予感がするのです」

ホームズ君かな?

探偵になれるよ君、直感だけで

「なぜそう思うんだ?」

「なんというか、あの家にわかりやすく近衛騎士の鎧が置かれていた事、そして山賊の言っていた話しが違うという言葉、何か・・・おかしい気がすると・・・」

「所詮は山賊、忘れて置きっぱなしにしたのかもしれんし、苦し紛れの言い逃れかもしれん」

「しかし!」

「しかし、違うかもしれない、君の言うもっと大きな何かがあるかもしれない、だとして、君はどうするのだね?」

自分の主人が戦争を起こそうとしていると知った時、こいつは一体どうするのだろう

私を殺すだろうか

それとも上に報告して処罰を求めるだろうか

「調べてみるかね?」

「いえ、自分は自分の主を信じます

あなたがそうしろと言うのであればそうするまでですよ」

「そうか、ありがとう」

・・・・・・チョロ!!

都合の良い手駒じゃん!!

そのくせ戦争を起こそうとしてるのバレたら裏切るタイプやでこいつ!!

こういう綺麗事を軽く並べるヤツは!

ヤンキーの友情永久不滅!!と一緒のタイプだよ安っぽいんだよ!マジ信用ならねぇ!

ムカついて来た!もう寝よ!

そして一晩明けて、目が覚めて最初に思った事

ヤベェ、兵士も俺もちょっと冷静になってる

「諸君、今日中に館に辿り着く、そして恐らく、殺し合いになる。覚悟は出来ているか!!」

「「「おぉおぉぉおぉぉ!!!!」」」

大丈夫かなぁ・・・大丈夫かなぁ・・・

「進むぞ!!」

馬に乗って走る事数時間、だいぶ都会に出て来たけど

なんていうか、視線が恥ずかしいな・・・

こんな見られるとは・・・////

あー、緊張して来た

耐えていると時間が経つのは遅いもので、なかなか着かない・・・今のうちに作戦とか言い訳考えとこ!

まぁ、銃をぶっ放せば余裕で勝てるのは間違いないとして

王都にはなんて言い訳しよう・・・

争いの火種を消すために・・・

禍根、禍根の元・・・

あっくそ、真剣に考えると無駄に早く着く!

「これは、エルディン卿!いかがなs」

館の門番が気さくに声をかけて来る

すかさず兜の隙間に槍をブチ込む!!

意外と感触は気持ち悪くないんだなぁ

かかれぇぇぇ!!!

「奴らは獣ぞ!獣には銃を使って良い!!

撃ち方構えぇ!!」

これはちゃんと昨日の内に兵士に言っておいたはずなのだが・・・

少し困惑しているようだ・・・

「撃ち方!!構えぇぇぇぇ!!!!」

怒鳴ると慌てて銃を構える

敵が慌てて城門から出て来るタイミングで!!

「ってえぇぇええ!!」

おぉ、味方も敵も銃の威力にビビってる・・・!

そして俺もビビっている・・・!

鎧きてても余裕であんなんなるんか・・・

むしろ貫通する弾も鎧の内側で跳ね返るからより残酷な事に・・・!

「突撃ぃぃぃぃ!!!!」

ビビってるうちに衝撃を加えなくては!!

俺も皆んなと同じ、戦争初心者だからなぁ

学ぶ事がおおいや

さて、余計な事を言う前にエイヴァロン卿をぶっ殺さないと!

「なな、な、何事だぁ!」

「あ、エイヴァロン卿、さようなら」

槍で、前から突き刺す!!

だって鎧を着ていないから!!

銃で4人、槍で3人を仕留めた

初めてにしては凄いスコアだと思うんだ!

まぁ、完全に奇襲ってのはあるけど

戦時国際法も無いし、別に良いだろう

いや、本当はもっと殺すチャンスはあったんだけど、恥ずかしながら銃が余りにも当たらなくて////

それはそれとして、完全にワンサイドゲームだなこれ

ほとんど虐殺じゃねーか!

まぁ、このような形が初戦だったのはありがたいな

まずは簡単な所から始めなくては、いきなりハードモードでは話しになりませぬからな

「エルディン様!この方はどうしましょう!」

「離しなさい!!お父様が、お父様が一体何をしたと言うの!?悪魔共!!」

半狂乱気味に怒鳴り散らすこいつは確か会った事があるぞ

エイヴァロン卿の娘の・・・・・・

「失礼、お嬢さん名前はなんと言ったかな?」

「お父様を返して!!お父様が!!お父様が!!」

「連れて行きたまえ」

「はっ!」

怖っ・・・

何あの人・・・言葉忘れちゃったのかな・・・

あ、書斎にいって直筆の手紙をかき集めて来ねば

「10分後に火を放て、悪魔を根絶やしにするのだ」

「何もそこまでしなくても!!」

「これは戦いなのだ!!徹底的にやれねば!!」

全力で書斎にダッシュ!して手紙を奪取!

必要なエイヴァロン卿の文字は集まったしもういいか

「火を放て!」

ぼくも戦争は初めて

みんなも戦争は初めて

ならばこの戦いが基準になるのだ

やり過ぎなくらいやっておけば

次からも多少やり過ぎても大目に見てもらえると言うものだ

少々、兵士達の良心が壊れるくらいやっておかねば

「とらえた女、子供はどうしましょう」

「殺しても構わんし犯しても構わんただし後腐れなくな」

ここに来るまでに気付いた事があるのだが

こっちの世界の人間は殺しに対する免疫が無いだけで、悪意自体はちゃんとあるのだ、薄いが

だからやって良い、と言えばちゃんと悪い事も出来るのだ

つまりは、この程度ではないもっと大きな争いを

大きな戦争が起こらなかった為に悪意の使い方がわかっていないのだろう

起こせば後はなし崩し的にバンバンやりまくるだろう

その先頭に私が立ってやれば良いだけだ

「いや、待て!ここでは人目が憚られる、連れて帰るぞ、城でやろうではないか」

3名の軽傷者という圧倒的戦果でもって

我々は帰還した

麗しの地元へ

我らの土地へ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る