第5話 悪意は感染性の精神疾患

エルダード城、兵舎にて

「諸君、我らが勝利に、乾杯!」

「「「乾杯!!」」」

みんな目つきが変わったなぁ

闇を湛えておるわい。ふふふ酒もガバガバ飲んでるし、皆んな顔も赤くなってきた

そろそろいいかな?

「諸君、これを見てくれ」

手枷付きで全裸で連れて来られる女達

戦利品だ

「こやつらは悪魔の手先、神の敵だ。

何をしても構わん、人ではないからだ」

なんだこいつら酔っ払ってるくせに困惑した表情しやがって

「あー、そこの君、恋人は?」

「いっ、いませんが・・・」

まぁ、その顔じゃあな・・・

知ってたよwww

直視してこず、おどおどしているから恐らく女性に慣れていない、そして声をかけたらビクッとしたから気も弱いのだろう、こういうタイプは目上のモノから押されれば、ヤる

「この娘は生娘だ、犯しても良いぞ

さぁ、他の皆も好きなモノをやればよい、こいつらは人ではないのだ。それに、ここには諸君しかいないのだから、自由にしたまえ」

すかさず部屋を出る

上司がいてはやりにくいだろうからな

仕事終わりで酔っ払った人間とは疲労と酩酊により思考能力は無いに等しい、さらに目上のモノも味方とくれば、チョイと突けば簡単に落ちるのだ

落ちない理由が無いと言っても過言ではない

そして、年長者辺りが最初に始めれば、後は全員一丸となって続く、と

素晴らしい友情じゃないか

戦の後のこういう空気が1番危ないのだが、なにしろこっちの世界は誰も攻めてきたりはしない

存分に兵士を悪魔に改造する時間があるのだ

いやはや、素晴らしきかな

今日はそうだな、そろそろ慣れてたし

奴隷に夜伽でもさせようか

やっと!やっと童貞を卒業できる!!

長かったなぁ・・・!

奴隷宿舎を名簿と部屋番を照らし合わせながら練り歩く

おっ、この子ええなぁ

この部屋か・・・

まずはしっかりとマナーを、ノックは3回

ドアから覗く可愛らしい娘よ

「は、はい、あの、どうされました?」

「私の部屋まで付いてきたまえ」

心はルンルン、顔は無表情

城内を私が歩く、少し後ろを彼女が付いてくる、なんか、恋人みたいだなぁ〜フフフ

「あの、私何かしたのでしょうか」

「そうではない、部屋についてから話そう」

仲睦まじくみえるのだろうか

というより、奴隷なんぞを部屋に連れて行くのだ、要件は1つしかあるわけないだろう

フィリップのお部屋♡と書かれた看板をかけようとして側近に止められたのが悔やまれるシンプルで寂しい扉を開ける

「入りたまえ」

「えっと、あのそれで、要件とは」

扉を閉めて鍵をかける、西川貴教が歌っても少しも音が漏れないレベルの魔道防音壁

中で工事しても隣の部屋の人間は安眠できるだろう

要するに、だ

「服を脱げ!」

電撃戦の展開!

「えっ!?はっ」

時間を与えない!

「早くしろ!間に合わなくなるぞ!」

焦燥の表情!

「はっは、はいぃ!」

攻撃はさせない!

「あ、あの、何故服を!?」

防御もさせない!

「ベッドに隠れるんだ!」

ミッションコンプリート!

この女は自ら服を脱ぎ、己の選択でベッドに入ったのだ

で、あるならば

抱いてやらねば失礼だろう、男として

〜〜〜行為の様子は描写できないので後年、本人による証言をここに記載します〜〜〜


「童貞卒業」

フィリップ・ド・エルディン

それは、一言で言うならばheaven

大人の、人間の、生物としての階段

それを踏み締めて登る快感

マラソンランナーの横をタクシーで通り抜けるかの様な優越感

私も成長しているのだと、実感が湧くと同時に

1人の紳士としての責任を感じました。

まぁ、内に秘めたる雄の欲望(性欲)を解放したいだけだったので女性に対する責任はわかりませんが

新世界の扉を開く夜はそうして更けていきました


〜〜〜以上〜〜〜


人は、どうして戦争なんて愚かな事をするのだろう・・・

「うっ、ひっく・・・」

「いつまでも泣いてるんじゃない、風呂に入ったら宿舎に帰りなさい」

「はい・・・ゔっぅ」

やれやれ、こんなイケメンに抱かれるなんて夢のようだと思わないのかね

俺は男は無理だけど、美女に襲われるなど大歓迎だ、それをなぜ泣くのか・・・

「この事は他言しても良いが、君の弟さんが病気にかかる可能性がある、気をつけたまえ」

「ひぃっ!は、はい!」

良い返事だ

今日はこのまま寝よう

夢見心地のまま・・・・・・

僕は夢の中にズルズルとハマっていき

ストンと眠りに落ちた


ふわぁ〜ぁ!

部屋のカーテンを開ける

清々しい朝だ・・・!

気持ち良い朝風呂を浴びスッキリサッパリ!

今日もお仕事頑張るゾい!

「good morning♪」

「あ、お、おはようございます」

「エルディン様!すぐに応接間へ!」

誰がエロディンだ失敬な!・・・聞き間違いか

「わかった、すぐに行く」

なんか今日あったっk

あっ、あぁ〜・・・王都からの使者が来る日だ

使者が死者になってくれたらまだマシなものを!下らない駄洒落を言っても仕方がない

駄目な洒落と書いて駄洒落なのだ

「お待たせしました。あぁ、これはアルベルト公、あなたが自らお越しになったというのは・・・いえ、本題に入りましょう、この件、王都ではどのように?」

公爵が出て来るとはな、やはり大事になっているか、予想以上にめんどくさい事になるかもしれん

「お気遣いなく。戦乱の芽を潰した、とはいえ、血で血を洗うやり方は如何なものかと、人に向けて発砲した事も踏まえ処置は直々に下すので王都に出向くように、と王からのお達しです」

処置か、即処罰じゃないだけ良いな

「わかりました、すぐに準備致します」

一週間の長旅をなんだと思っているんだふざけるなよ

だが、例のアレを使う時が来たようだ

準備に取り掛かるとしよう

「お務め、ご苦労様です、部屋を用意してありますのでそちらでおくつろぎ下さい」

「心遣い、感謝致す」


〜アルベルト公視点に移行します〜

領主のフィリップ卿は、優しい方だと聞いていたが何か、信用出来ない何かがある気がする

これは、独断だが探ってみる事にしよう

視察という名目で場内を散策してみる

今回の戦で人を殺した兵士たちがいるのだ

その者達の様子も調べたいので兵舎に来たが

「なぜ入れないのです?」

「今回の件で兵士たちは今、気が滅入っております、部外者の立ち入りは極度に制限されているのですよ」

もっともと言えばもっともだが

だが怪しい、何を隠している・・・?

今は諦めるか

「後でまた来る」

見張りの兵が交代すればまた1からやり直せる、多少の嘘も、仕方が無いだろう・・・

他に何か、無いか

奴隷宿舎か

奴隷達の評判というのはそのまま事実と言って差し支えない

正規の領民では無いので多少行きすぎた批判も問題は無く、忠誠心も無いので嘘をつく事もない

逆に言えば、嘘をついてまで守ろうとされる領主というのは素晴らしい人格の証明となる

奴隷達にも評判を聞いてみるとしよう

「そこのお嬢さん、少しよろしいですかな?」

ん?目が赤い、泣いていたのか

これは、私とした事が無神経な

「失礼、ハンカチをどうぞ」

「ありがとう、ございます。大丈夫ですから」

何があったのだろうか

「・・・理由を尋ねても?」

「なんでもないんです、本当に、大丈夫ですから」

これ以上深入りしようとするのも失礼、か

しかし、あの泣き様は尋常ではない

常時であれば身内の方でも亡くされたか、と勘案するところだが

今の私にはどうしてもフィリップ卿との関連を疑わざるをえない

しかし、それ以前に、純粋な善意としてこのお嬢さんの涙を止めたいと思うのだ

「私でよければ話しは聞きます、いつでもご連絡下さい。それと、そのハンカチは差し上げます」

「名前を、伺っても?」

おっと、名乗りもせずに連絡など、うっかりしていた

「私はホセ・アルベルトと申します。これで失礼するが、お嬢さん、どうか健やかで」

「あ、ありがとうござまいす」

美しい女性には笑顔でいてほしいものだ

「おや、こちらにいましたか!出立の準備ができました!」

フィリップ卿・・・

この若僧は何者なのだ

〜〜〜クズニート視点に戻ります〜〜〜

このヒゲ親父、なんで奴隷宿舎にいやがる

話しによると兵舎にも顔を出しやがったらしい

明らかに探ってやがる

いや、確証は何一つないはずなのになぜ疑われる?このジジィ、要注意だな

「これは失礼、お話しの最中でございましたか?」

よりによってしかもこの女か・・・

余計な事言ってないだろうな

「なんの話しをされていたので?」

「いっいえ!何も話しておりません!」

「えぇ、なに、老人のお節介ですよ、目を腫らした女性がいれば、手を差し伸べるのが紳士ですから」

本当にお節介なんだよボケ老人が・・・!

「おや、これは。何かあったら私に言うのですよ?全力で力になるからね?」

何も吐いてないのは間違いなさそうだな

まぁいいだろう

「では、アルベルト卿、参りましょうか、馬車の手配もしてありますので」

王都に赴く、最強の保身用武器を持って

「アルベルト公は、私が悪だと思いますか?」

「それは王が決める事です」

「・・・そうですね、失礼しました」

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