no-bady noway(どんづまり)

「そんな、それじゃ、わたし、なんてことを……」

「……弔ってやったらどうなんだ。誰も来ない彗星軌道で朽ちるのに任せるなんて忍びないだろう。この寒さ……憎いばかりじゃなかったんだろ」

「……うん」



Doomはナイトメアを棺に入れ、メテオへと積み込んだ。体はぞっとするほど軽かった。途中、離れた場所で所在なさげに立っているナイトに気が付き、声をかけた。

「なあ、あんた、船を降りて、地上へ行かないか。行く場所がないって言うんなら、インターフェースの扱いに長けた墓守を知っている。あんたが望むのなら、ナイトメアと同じ場所で眠ることだってできる」

虚を突かれたようにはっと顔を上げたナイトは少し微笑み、しかし首を縦には振らなかった。

「ナイトロ・ナイトメアはスピードの向こうへ至るための船。そうあれかしと建造された。わたしはもう止まれない。燃料は使い切ってしまって、もう止まることもできないの。操縦するメアはいないわ。この船を止められる人はもういないの。でも……いいえ。『だから』、わたしは行くよ。ひとりでも。『私たち』はナイトロ・ナイトメアなのだから」

「さようなら、Doom。『私』を、メアを、よろしく。きっと、手厚く葬ってあげて」

ナイトは控えめに手を振った。Doomは迷わず手を振りかえした。


黒曜の機体は空を裂く一筋の刃。船主を失いまた少し軽くなった船は円環の宇宙航路を未だ航行している。どこにも逸れることなく、どこへもたどり着くことなく。

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