not normal(非・正常)

狭い操縦席に赤い警報灯がぐるぐるとまわる。

「Doom! 危険です!」

「わかっ、て、いる!」

操縦桿を握り、Doomは限界ギリギリまで加速する。体が後ろに引かれるのを、Doomは歯をくいしばって耐えた。そうして、黒い船に添わせるように速度をジリジリと落とす。だらりと脂汗が垂れる。デリシャスメテオは極度に軽い船だ。急加速、方向転換には向くが、逆に精密かつ一定の速度管理が要求される場面では非常に弱い。Doomは奥歯でタブレットを噛み砕き、集中する。少しずつ、少しずつ。操作を間違えば、デリシャスメテオはその薄い装甲ごと吹っ飛ぶ。Doomは片目ずつ瞬きをした。目の前の船の壁面が揺れ、目の前の黒いハッチがじわりと開いた。鈍化した主観時間の中で、Doomは扉を見た。操縦桿を務めてゆっくり倒す。デリシャスメテオは緩やかに加速し、ハッチの中へと吸い込まれていった。

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