1-2
「今日はずいぶんと可愛らしいじゃないか。デートか?」
奥に座る女性——
「確かに珍しいけど、似合ってるよ」
そう爽やかに白い歯を見せて笑いかける男性——
「それにしても
そう言って真斗はまじまじと僕——
「仕事でボロボロになった服しかなかったんだよ……見るんじゃない!」
本当に嫌だ。自分の体が女性であることを認めざるを得なくなる。だからスカートを履くのは嫌だったんだ。心の中で環は呪詛を唱える。
「なんだ、今日は
くつくつと楽しそうに笑う鶴子の底意地の悪い顔に、うげぇ。と思わず苦い声を出してしまった。梶と会うとわかれば来なかったのに、と自分の運のなさを嘆く。
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