♦
考えた結果、保護を願い出た。
ユリカは薬で眠っている。かなり深い傷に見えたが、
「君も少し眠るといい」
宗也さんの言葉に甘え、シートに身体を預け目を閉じる。いろいろありすぎて疲れた。睡魔はすぐに襲ってきた。
夢の中で、虹色の柱が浜辺にそびえ立つのを目にした。
なぜだか見覚えがある光景だ。
ああ。綺麗だな……
§
「人の形をした
「素材は
「あるいは彼女と人との
話し声が聞こえる。
難しい単語ばかりで、たぶんわたしには関係ないことだと思う、
「大いなるものは腐る事もなく、海に溶けだしこの星の全ての水に
「ダゴンの
「そのうえ現在進行形の話だよ。水と無縁でいられる生物は存在しないからね」
「そもそも神の考えることを知ろうなんて、正気の
いつの間にか手術着のようなものに着替えさせられている。
少し肌寒い。波にでも揺られているのか。
私の身体はゆっくりと運ばれて行く。
「もう少し眠るといいよ」
どこか懐かしい、気弱そうな青年の顔が見える。
§
「先生、貴重なサンプルを
「教え子を戦わせて、
「さア? まともな人間ナンテ、ここじゃ珍しいデスからネ。先生がそうしたいナラ、それもいいと思いマスヨ」
「止めないのかい?」
「先生には借りがアル。ワタシは何も見てマセンよ」
止まっていた波が動き出す。
わたしはどこへ運ばれて行くんだろう。
もの問い顔を青年に向けてみる。
「安心して眠れる場所だよ。ゆっくりお休み」
ゆりかごを揺らすおかあさんの手を思いながら、私は再び眠りに落ちた。
END.5
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884676877/episodes/1177354054884676949
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