~~

 とっさの判断で海岸を走った。

 よろける少女を支えながら崖の小道へ向かう。


 背後から2度、乾いた音が響いた。振り向くと、車のライトの逆光の中、魚人ではない人影が見える。


 銃声?

 あの人に助けを求めていいの?


 振り向きぎわ、月に照らされる海面に、何かが浮かび上がるのが見えた。

 何体もの魚人が顔をのぞかせているのだと気付き、あわてて走り続けた。


 息を切らせながら崖に辿り着く。

 足を踏み外さないよう気を付けながら小道を登る途中、少女――キィと呼ばれていたか――が足を止めた。


「どうしたの?」


 崖道で、手を使えないキィをかばいながらでは、海岸をうかがうことはできない。焦りながら問うと、キィが無言のまま一点を見詰めているのに気付いた。


「この石?」


 なめらかに磨かれた緑色の石。自然の物ではない。護符か何かだろうか。中心に燃える目を持つ、歪んだ五芒星ごぼうせいが刻まれている。キィの代わりに手を伸ばすと、五芒星が揺らめいて見えた。



石を拾う。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884676877/episodes/1177354054884679374

石には触れない。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884676877/episodes/1177354054884678218

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る