□
すぐ後ろまで奴等が迫っているような気がする。
こっちだよ。
懐かしい声が聞こえた気がして、わたしはキィともつれるように社に転がり込んだ。
入れたんだ、ここ。
子供のころ、
教えられなくても、入ってはいけない場所だと知っていたからだ。格子からのぞくと、小さな台にお
「大丈夫?」
声を
逃げるのに必死でそれどころじゃなかったが、臭いでキィが精液まみれなのを思い出した。触れてしまった嫌悪感で鳥肌がたつも我慢する。この子はもっと酷い目にあったんだ。
せめて顔や髪だけでもと、ハンカチで
このまま
わたしは携帯を取り出すと、一番最初の連絡先を呼び出した。
「海斗……いま
からからに渇いた喉でつかえながらも簡潔に告げる。説明しても信じて貰えるとも思えない出来事だし、自分でもどう説明して良いか分からず混乱している。待ってろと一声だけの返事だったが、放り投げるような
胸に抱くキィはわずかに瞳を動かし、不思議そうな顔で私を見ている。
精液の臭いや
ふと、虫の声が止んでいるのに気が付いた。
耳鳴りがしそうな
高鳴る
かり。
扉の方から引っ掻くような音が聞こえた。
呼吸も忘れ身を強張らせていると、格子から差し込む月明かりに影が落ちた。
風で樹の枝が揺れたんだ。
そう思い込もうとする私の耳に、どこかで
「開けろ……」
扉越しのささやき声に、びくりと身をすくめる。どれだけの時間動けずにいたのか。
……海斗?
音を立てぬよう
恐る恐る扉に手をかけ、ポケットの中の携帯で確認すべきかと思い当たった
わずかに開いた隙間をこじ開け、
みっしりと。
わたしの視界を埋め尽くした。
END.7
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884676877/episodes/1177354054884676949
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