じゃぱりまん撲殺事件

ここは、PPPライブの会場。

普段はライブで賑わっているが今日は、いつもと違った。

それに最初に気が付いたのはフルルであった。


「ねぇー、なにかなーこれ」


「どうしたの?」


ジェンツーペンギンのジェーンがその声に気付き、近寄る。


よくよく見ると、ステージの上に白い線で倒れた人型が描かれている。その右上には、二つに割られたじゃぱりまん。


「あっ、じゃぱりまんだー」


フルルがそれに気付き、近寄ろうとする。


「ちょっと待ってよ。変じゃない?これ」


「どういうこと?」


「誰が書いたの?」


当然の疑問である。


「あっ...そっかぁ...」


「昨日までこんなの無かったじゃない」


2人が絵を見ながら考えていると、マネージャーであるマーゲイがやって来た。


「お二方とも何してるんですか?」


「これ、誰が書いたか知ってる?」


マーゲイは1度眼鏡を整えてそれを見つめた。


「さぁ...、私が書いた訳じゃないですし...、なんなんですかこれ?」


「わからないから気になるんだよー」


フルルがそう言った。

他のメンバーにも聞いてみる事にした。

だが、コウテイもプリンセスも、イワビーも皆口を揃えて知らないというばかりであった。


「一体誰が....?」


「美味しいよー、これ」


「って、フルル!何食べてるの!?」


フルルはあの絵と共に置いてあったじゃぱりまんを食べてるではないか。


「大丈夫だよ。まるで出来立てみたい」


その言葉を素直に受け取ることは出来なかった。


(...いったい誰がやってるのか、この目で確かめる!)

ジェーンは意気込んでいた。



翌日、いつの間にかあの白線は消えていた。

今日も運良く、ライブが無い。


昨日あの線が出現した所を1日観察する事にした。


(・・・・)


片時も、目を離さずにその場にいたはずだった。


「ねぇ、ジェーン」


フルルが肩を叩いた。


「えっ!?何!?」


「これ」


フルルは指でその位置を示した。


「はっ!?いつの間に!?」


そして、何事も無いように、じゃぱりまんを回収した。


「誰も来なかったのに!!」


悔しそうに、声を上げた。


「別に、おかしくないじゃん。じゃぱりまんが勝手に出てくるだけだし」


「・・・確かに無害だけど、そうなんだけど、気になる!!」



この後必死にジェーンが、その監視を続けたが、描く人物は誰一人として現れなかった。

数週間程この現象が続いたが、結局誰も気にする人は居なくなり、

この現象も、出現しなくなっていたのである。

一体誰が何のために、こんなくだらない悪戯をしたのか。

それは誰にもわからない。


―――――――

<元ネタ>

【うまい棒撲殺事件】


アイテム番号:SCP-085-JP


オブジェクトクラス:Safe

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