続・メリーさん
今日は家にメリーさんが遊びに来ていた。生憎に妻は留守だった。
「そんでさ、メリーさん。さっきからずっと気になってたんだけど」
『どうしたの?』
「何でこの距離で電話?」
『それは……ほら、わたしシャイだから』
「いや知らんがな」
隣に座ってお茶をすすりながらテレビ見て談笑してるのに、スマホを経由していることを意識しすぎてなかなか面白い違和感があった。
「っていうか、遊びに来たのにホントにこんなんで良いの?前は急な来客だったから質素になっただけで……」
『良いのよ。わたしほどにもなると、この時間を使っている感じが心地よくなるものよ。これがいわゆる【わびさび】と言うやつね』
「よし、出掛けよう!」
『話聞いてた?』
というわけで。
「ん…?あ!あなたはいつぞやの御方!やぁやぁ、よく来てくださいましたね!」
「暇だったもんで」
「そうでございますか!あ、そちらの可愛らしい方は奥さんにあられますか?」
「いや、そんなんじゃなくて」
『わたしメリーさん。今、あなたの目の前にいるの』
「はい!目の前にいますね!」
あまり出掛けることに賛同でなかったメリーさんだったが、きさらぎ駅の構内を見てテンションが上がっていた。
『あれはなに?』
「駅名の表示ですね!もうすっかり寂れて文字は認識できませんが」
『じゃあ、これは?』
「昔ながらの改札ですね!誰も改札を抜けようとしないので、未使用になります!」
『手に持ってるそれは?』
「これは普通のスマートフォンですね~」
メリーさんの質問にも車掌は丁寧に応答していた。結局二人はLINEを交換して、僕とメリーさんはその場を後にした。
「この間は楽しかったね、メリーさん」
『もしもし、わたしメリーさん』
「そこから始めないといけないの?」
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