(7)
「……だよな。あれで終わりなわけがねえよな」
「……ですね」
新たな危機が立ちはだかったというのに、俺は自分が笑っていることに気づいた。同意するガドッシュの声も、緊張感がありつつどこか嬉しそうに聞こえた。
「かかってこいや、おらぁああ!」
俺が叫ぶと同時、正面のキノコ群が襲いかかってきた。
無心で踏み込んで剣を振る。刃が二本のキノコを一気に斬り、次いで青の残撃が周囲の群れを刻み散らす。
すげえ。改めて、すげえぞ!
「勇者様、囲まれたままでは分が悪いです。まずは前進しつつ正面を一掃し、群れから少し距離を取って反転、迎え撃つのです!」
「ああ、わかった!」
ガドッシュの助言に応じる。横や背後から迫る敵を斬りつつ、目の前の群れをどんどん薙ぎ払い、邪魔な屍を蹴り飛ばしながら突破。
二、三十本は斬ったと思うが、ひるがえって再び対峙すると、群れはさらに増えていた。
五十──いや、百本くらいにはなってるんじゃないか?
「くそ、まだまだいくぞ、ガドッシュ!」
「はい!」
踏み込む。振る。残撃。
相棒の扱いにも慣れてきた。
太いキノコの首が、次々と飛ぶ。
今までの鬱憤を晴らすように、一心不乱に斬りまくった。
そうだよ。異世界生活はこうでなくちゃいけないだろ。
警察、刑務所、なんだよそれ。
更生プログラム、学園、なんだよそれ。
高額請求、ハロワ、宇宙、なんだよそれ!
「必要ねぇんじゃ、そんなもんはよぉおおお!」
斬る、斬る、斬る斬る斬る斬る、斬りまくる。
「その猛々しさ、まさしく『勇者』ですね、勇者様!」
「お前もすげえよ。魔剣なんかメじゃねえ、正真正銘、聖剣の中の聖剣だ!」
「当然です!」
ガドッシュの声も活き活きしている。
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