(18)


 その翌日。朝早くに親方から、通信魔法による着信があった。

「急で悪いんだが、今日の仕事、朝の部に変更してもらえねえか? できれば相方の方も」

「えっ」

 時刻を確認する。朝の部だとすれば、出勤時間まであと二時間ちょいだ。

 まあ間に合わないことはない。今なら二人分のテレポートを使う金もあるからな。ガドはマギパッドを持っていないが、俺が抱えたりすれば一緒に転移できし。

 今日は現実に戻る日だが、朝の部であれば、作業時間と転移のタイミングが重なることもないだろう。あ、通信が終わったら、忘れないうちに定期連絡を済ませておこう。

「いいっすけど。でも、どうしたんすか、いきなり?」

「朝の部の連中が何人か体調を崩したようでな」

 どうやらその中には、現場責任者も含まれているらしい。

「オレもついさっき会社から連絡が入ってよ。こっちだって疲れてるってえのに、それから人集めでてんてこ舞いだ。とにかく、お前たちが来てくれるなら助かるぜ。ありがとな」

「いえ、そんな。でも夕方の時間帯の方はどうなるんすか? 人が減るんじゃ?」

「あっちはあれで人数が多い方なんだよ。現場に行くには規定人数ってのがあってな。朝の部はそのぎりぎりで回してたらしい。二、三人減っただけでもゴンドラに乗れなくなっちまうくらいだったんだとよ」

 それで人数の多い夕の部から一時的に朝の部へ移動させることで、急場をしのごうということらしい。

「でもそれって、しょうがなくないっすか? 働き手が足りないのは、どうしようもないような……」

「しょうがないで済まねえのがオレらの仕事なんだよ。……まあ、そういう話は後だ。んじゃあ、頼んだぜ」

 親方からの通信はそれで切れた。喋っている最中に、小さい子供の泣き声が聞こえてきたりしていて、子を持つ親は大変だなあと思った。

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