(15)


 学園が終わり、アパートに帰って晩メシを食べている時だった。

 ガドが唐突にこんな提案をしてきた。

「決めました。ボクも勇者様と一緒に働くです」

「んあ?」

 俺はカロリブロックの最後の一片を頬張っている最中だった。

「勇者様を一人で働かせるというのは、聖剣として、やはり我慢がならないです。それにボクも働いた方が、より多くの金銭を稼げるじゃないですか」

 ガドはちょこちょこと移動し、俺の隣に座る。ここ数日の間でガドなりに考えていたらしく、本当に働きたいと思っているようだ。

「なるほど……まあそれもそうか」

 世界を回るのも相応の金がかかるっぽいし、稼ぎ手が増えるに越したことはない。それに鬱々と家で留守番させているよりは、たまに体を動かした方が、こいつのストレス解消にもなるかもな。

 ただこいつも、この世界においては身元不明者という扱いになるのだろう。そういう不都合なことを詮索されたらどうしたものか。

「まあ、わかった。とりあえず働けるかどうか、次の仕事の日までに親方に訊いてみるよ」

 前回の仕事で数日暮らせるだけの日当はもらえたから、次は学園が休みの日に出勤する予定だった。これ以上、授業をサボるわけにはいかないからな。

「では張り切って、マセキをずたずたに刻んでやるですよ!」

「はいはい、頼んだぞ」

 ガドは手刀を掲げて意気込んだ。

 果たして大丈夫だろうか……。

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